ウクライナ危機

歴史は繰り返す ウクライナ戦争と第三次世界大戦

ウクライナ危機

以前の「苫米地英人著「日本人だけが知らない戦争論」 戦争の影にいる国際金融資本家について知りたい人にオススメの書籍」では、近現代における多くの戦争には、国際金融資本の影がチラついていることを紹介した。

日本人だけが知らない戦争論(苫米地英人 著)

このような視点で戦争を見ると・・

  1. 国際金融資本は敵対する両陣営に直接的・間接的に資金を供給
  2. 国際金融資本が後押し(傀儡化)する政治家や軍人が、戦争を誘発し長期化させて拡大する

・・という構図になっていることが分かる。

つまり、「戦争」とは、欧米の銀行家・資本家たちの儲け話というだけでなく、金融・経済界を効率よく手中に収めるための手段の一つと言える。

戦争に必要な武器・エネルギー等の独占供給による大儲けだけでなく、戦時の国家権力や戦後の大恐慌を利用してお目当ての企業をバーゲンプライスで買い漁るまである。

コロナ危機の終わりは金融危機と仮想通貨バブルへと繋がる」等でも紹介したように、経済とは「貨幣の数量」によって規定されるので、国際金融資本が所有する中央銀行に金融引締めさせることで、金融恐慌を起こすことが可能だし。

億万長者はハリウッドを殺す(上)(広瀬隆 著)に詳しいが、欧米の資本家は金融・経済だけでなく、大統領側近(or大統領本人)といった大物政治家まで手中におさめているため、戦争から金融恐慌まで、彼らの都合に合わせて全ては動く。

このような視点でウクライナ戦争を見ると、最初に思い出されるのは、アメリカ・ロシアがウクライナ戦争前に行ったジュネーブ会談の場でこの戦争のルールを決めた後、バイデン大統領の「ロシアがウクライナに入っても西側は入らない」発言を経て、ロシアが侵攻したことだろう。(ウクライナで激化する戦闘はウクライナ政府が望んだこと?)(ウクライナ危機は認知戦?インフレと金融システムの転換

事前に「そろそろやる?」「じゃ、こんな展開でヨロ」となって始まったウクライナ戦争だが、既に経済的勝者と敗者は確定している。

経済的敗者は、ロシア制裁(セルフ制裁)に苦しむ欧州諸国民と、戦争被害を直接受けるウクライナ国民で、特に欧州諸国はアメリカから高額な天然ガスを売り付けられているなど、完全にカモとなっている。

欧州企業はアメリカ産天然ガスの購入費用を国際金融資本傘下の銀行から調達し、その分を欧州国民が負担し・・のループだ。

一方で、ロシアはエネルギー高騰もあって経済はほとんど停滞していないため、IMF(国際通貨基金)では2023年のロシアはプラス成長(+0.3%)と予測している。

この他にも、サウジ等の産油国や欧米の石油メジャー・軍事企業が大儲けするなど、戦争が長期化・拡大するほど、国際金融資本は一般市民からカネが入ってくる構図となっている。

なので、近代の戦争は長期化するし拡大するワケだが、ここで第二次世界大戦以降のアメリカを見ると・・

  • 1950~53年 朝鮮戦争(米軍は意図的に中国軍の流入を止めず、長期化)
  • 1958年 レバノン暴動への軍事介入
  • 1961年 ピッグス湾事件(アメリカの意図的なキューバ侵攻失敗)
  • 1961年 ベトナム戦争(関連して、1970年カンボジア侵攻、1971年ラオス侵攻)
  • 1965年 ドミニカ内戦への介入

・・と次々に戦争を起こして長期化&拡大していたことが分かる。

なお、これらの戦争物資の補給を任された日本は、1950年~70年に総額100億ドル規模の恩恵を受けており、これが高度経済成長の一因となったとか。

日本人の99%が知らない戦後洗脳史(苫米地英人 著)

さらに、ベトナム戦争終了の半年後には第四次中東戦争が勃発し、アメリカのイスラエル支援に怒った中東諸国が石油価格を4倍に吊り上げたため、世界中で超絶インフレ不況となる「石油危機」が発生した。

なお、この当時のサウジの石油採掘権は、国際金融資本の代表格のモルガン・ロックフェラー系企業100%出資の「アラムコ」が保有しており、石油収入もモルガン・ロックフェラー系銀行に預入られていた。

他の産油国も状況は同じなので、石油高騰=国際金融資本の爆益であり、国際金融資本にとってボーナスステージとなった。

ということで、今回のウクライナ戦争では資源価格高騰や異次元規模の支援によって国際金融資本は爆益中だが、爆益であるが故に長期化・拡大するのは間違いないと言える。

と言うことで、ここ最近のウクライナ関連の主だった動きを見ると、まずは、バイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領を電撃訪問したことがある。

この電撃訪問は、異例中の異例となる米軍未駐留の戦地への大統領訪問ということもあって、ウクライナ支援に対するアメリカの本気度を示したことが成果として挙げられている。

だが、本当にそうだろうか。

時事通信の記事には・・

米政府高官は20日、記者団に「ロシア側に事前通告をした」と明らかにした。ロシア側の反応には言及しなかった。

・・とあるが、この点については、ロシア元大統領のメドベージェフ氏が「バイデン爺の身の安全は保障したったで」と公表したことを、ロシアメディアのRT(RussiaToday)が報じている。

こう言うのは本当のコトは言わないお約束だと思っていたが・・まあ、FSB(ロシア連邦保安庁)が全力否定しているからセーフか。

と言うことで、バイデン大統領の身の安全は保障されていた。

さらに、時事通信の記事には・・

バイデン氏はポーランド国境から列車で約10時間かけてキーウ入りした。

・・とあり、バイデン大統領の身の安全が保障されていたのに、大統領専用機でキエフ入りしていない。

ここから分かることとしては、キエフ周辺含むウクライナ全土の制空権はロシアが握っており、さらにアメリカはその制空権を尊重した・・と言うことだろうか。

つまり、この訪問はウクライナ支援の本気度アピールではなく、ロシアに気を使ってますアピールだった。

さらにそこで打ち出した支援内容も本気度を示すには極めて微妙だ。

電撃訪問がセンセーショナルだったので、長距離ミサイルやF16戦闘機を支援する話でも出がかと思いきや、通常兵器5億ドル分というものであり、同日に報じられた日本・キッシーが表明した55億ドル支援と比べてもショボさが際立つ。

支援内容と電撃訪問の釣り合いが取れておらず、逆に本気度を疑って欲しいのかと勘繰ってしまうもので、やはり、ウクライナ電撃訪問には「ウクライナ支援への断固たる決意」以外の目的があったと考えるべきだろう。

その目的についてゼロヘッジさんは、アメリカ国民がウクライナへの直接介入を支持しているという「誤った印象」をウクライナに与えることを意図したものなんじゃね?・・と報じている。

バイデン大統領がウクライナに「ワシもすぐに行く(かもしれん)から、ちゃんと戦争続けてな」と言いに行ったとすると、ウクライナは戦争を終わらせたがっていることになるが・・どうなんだろうか。

ゼロヘッジさんの記事では、アメリカ含むNATO諸国から支援される兵器類は、ジャベリンなど貴重な兵器類が減少して旧型のものが増えていることが報じられているが、「ドイツ対ロシアの戦争が迫っている兆候」等で紹介したように、NATO諸国の武器弾薬の在庫減少により支援継続が難しくなっているようだ。

武器をもらえないとなれば、ウクライナは戦争を止めたがっていても不思議ではないし、ゼレンスキー大統領も中国の和平提案に耳を傾けているとか。

「もう戦争やめたいっす」との本音が透けて見えるようだ。

しかしながら、アメリカは中国に「(証拠は無いけど)ロシアに武器送ったら大変なことになるやで」と言い始め、さらに中国の和平提案にも否定的な態度を示す。

急に中国敵視が強まったように見受けられるが、これは、ウクライナ復興の名目で国際金融資本が動きはじめていることと無関係では無いだろう。

実質的に破綻しているウクライナの企業や肥沃な大地を買い漁ろうとする国際金融資本にとって、中国の介入は分け前が減ることを意味する。

こうした情報を総合すると、バイデン大統領のウクライナ電撃訪問は、ウクライナに「国際金融資本の皆さんの言うこと聞くんだぞ?中国じゃないぞ?HAHAHA」と言うことだったのかも。

なお、NATOのストルテンベルグ事務局長からは、ウクライナの武器・弾薬消費量がNATO諸国の生産量を上回っていることを理由に、「生産能力増強のために投資してや」の声が出始めた。

ストルテンベルグ事務局長曰く「ロシアと戦争してみたら、ワシらの武器弾薬の備蓄量が少な過ぎたことや、生産能力不足が分かったわ」として、平時の備蓄量・生産量共に増やそうと言うものだが・・これは、軍産への資金(税金)投入を意味する。

国際金融資本が所有する中央銀行が国債(税金)を引き受けて捻出された資金は、国際金融資本が所有する軍事企業に投入され、その下請け企業は国際金融資本が所有する銀行から設備投資資金を借りて・・と、自作自演で資産が増えるループだ。

このように、ウクライナでの戦争継続荷が難しくなる中での軍事投資が意味するものは、ウクライナ以外での戦争を準備中・・ということなのか。

そうなってくると、「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」「ドイツ対ロシアの戦争が迫っている兆候」等で紹介した、ドイツを中心にした欧州内戦(第三次世界大戦)が考えられるが、それだけでは済まないかもしれない。

実は、アメリカでは共和党を中心に、ウクライナに支援したカネの横領や武器・弾薬の横流しが疑われている。

ウクライナに引き渡した全ての兵器類の追跡確認は現実的ではなく、以前に紹介したロシアに渡っている可能性以外にも、テロ組織等に横流しされた可能性も否定は出来ない。

ここで思い出されるのが、あの「アルバート・パイクの計画」で、「第三次世界大戦はシオニストとアラブ人指導者の間の対立によって引き起こされる」とされていたことだろう。

ウクライナから中東方面に武器が横流しされている・・?

これまでのところ、中東では「イラン核合意は原油価格の高騰と中東戦争の引き金になる」で紹介したように、アメリカが覇権の縮小・撤退を進める一方で、イラン・サウジwithロシア・中国といった多極型の覇権体制へと変化しつつあるところだ。

また、USAパワーに頼れなくなるイスラエルは・・

  • 中東諸国と仲良くする
  • ロシア・中国陣営に入る

・・に戦略転換しており、中東諸国との関係正常化が進んでいる。

だが、その順調さに水を差す状況となりつつある。

第三次世界大戦というシナリオが動き始めた?」で紹介したように、現イスラエル連立与党に対アラブ強硬派の極右政党「宗教シオニズム」が加わったことで、パレスチナでの戦闘が急増しているのだ。

イスラエルが、国連安保理やアメリカから非難されるレベルでパレスチナ人居住区への入植を進めていることが原因なのだが、イスラム系ゲリラにウクライナから武器が流れているとすれば、この小競り合いから中東戦争という可能性はあるかもだ。

さらに、イスラエルのコーヘン外相はキエフでゼレンスキー大統領と会談し、ミサイルやドローンに対する早期警戒システムの提供を約束した(させられた?)とか。

イスラエルがロシア制裁・イスラエル支援をしなかったのは、サウジやUAEがロシア・中国陣営に移籍したのと同様に、中東の覇権転換(アメリカ→中・ロ)が理由だったハズだ。(ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル

今回は、イスラエル最強の防空システム「アイアンドーム」とは別モノの「早期警戒システム」でお茶を濁しているようだが、パレスチナ強硬策に対する欧米からの批判を緩和させる必要性も含め、今後はウクライナ支援せざるを得なくなっていくのかも。

そして、ウクライナ支援=反ロシアなので、アメリカ覇権撤退後の中東におけるイスラエルの孤立をも意味する。

アルバート・パイクの計画」では、イスラエル(シオニスト)は第三次世界大戦のための捨て駒とされそうな感じだが、それを果たすことになるのか。

この点で気になるのは、イランの核施設が設置されるカラジ市で爆発や対空射撃が確認されるなど、イスラエルからの攻撃を彷彿とさせる事件が起こったことだろう。

ただ、イラン政府は「実弾演習でしたっす」の姿勢を貫いており、事実上のボスとなるロシア・中国の御意に従って大事にはしたくない様子だ。

また、イランに抜き打ち検査したIAEA検査官が、84%の高濃縮ウランを発見したとか。

ちなみに、天然ウランには核分裂を起こさないウラン238が99.3%、核分裂を起こすウラン235が0.7%含まれており、「ウラン濃縮」とはウラン235の割合を高めることを言う。

一般的に、原発燃料で5%程度、医療用途で20%程度、兵器級で90%と言われているので、84%の高濃縮ウランは核兵器一歩手前というワケだ。

海外版の記事では、意図的な高濃縮なのか、数百台の遠心分離機を接続するパイプ内に蓄積しただけなのか判断できないと指摘されていたものの、極右政党「宗教シオニズム」が暴走する理由としては充分か・・。

こうした直近の動きからは、ウクライナ戦争の長期化だけでなく、欧州内戦や中東戦争へと拡大しそうな状況となっている。

第一次・第二次世界大戦で言えば、大戦不参加を貫いていたアメリカを参戦させようとしている辺りだろうか。

国際金融資本の牙城の一つ、IMF(国際通貨基金)のゲオルギエバ専務理事は、考えられない事態に対処するための準備を世界が強化する必要があると警告したとか。

捉えようによっては、「第三次世界大戦なるから、ちゃんと準備しときや」と言っているに等しい。

なお、ロシアは生存をかけた西側諸国との戦争との認識で、しっかりやる気になっている。

やはり、第三次世界大戦に向かっている?


最後まで読んでくれてありがとう!