金塊

終わりが見えたウクライナ戦争と没落する欧州覇権、そして簿外資産

金塊

先日、原田武夫氏が意味深なツイートをした。

いよいよ、簿外資産なる巨額のカネが投入されそうな雰囲気を感じさせるものだが、こうした中でウクライナ情勢が大きく動きそうな感じになっている。

ロシアとの戦争継続に当たって、過大な援助を要求し続けるウクライナのゼレンスキー大統領に対して、バイデン大統領がブチ切れたことが報じられている。

アメリカが10億ドルの追加支援を決めた直後に、ゼレンスキー大統領が「えーっと、次はこれが欲しいかも・・・欲しいものリスト更新っと」と追加のおねだりを始めたため、さすがのバイデン大統領も「ええ加減にせえよ」とブチ切れたとか。

ウクライナを無限支援するワケではないという、ある意味では当然の意思表示かもしれないが、バイデン大統領が6月にブチ切れたことを、アメリカ三大ネットワーク一角を占める大手メディアのNBCが10月31日付けの記事で報じたことには違和感を感じる。

さらに、政権からのリーク情報が出てくることで有名なワシントンポストさんからは、バイデン政権の身内となる民主党下院議員30人がウクライナ戦略の見直しを求めていることが報じられた。

身内から見直しを迫られるバイデン政権のスタンスは・・

  • ロシアと和平するか否かはウクライナが決めること
  • だから、アメリカはロシアと和平交渉しない
  • でも、ウクライナがクリミア奪還するまで、軍事支援を継続する

・・てあり、戦争長期化&世界的なモノ不足はずっと続くことが見込まれている。

民主党議員30人は・・

The liberal Democrats note that the war’s disastrous consequences are increasingly felt far beyond Ukraine, including elevated food and gas prices in the United States and spikes in the price of wheat, fertilizer and fuel that have created global food shortages, not to mention the danger of a nuclear attack by Moscow.

(民主党員は、戦争の悲惨な影響が、アメリカはじめ世界的に食料やガス価格の上昇を招き、世界的な食料不足の原因になっているほか、ロシアによる核攻撃に繋がる危険性も懸念する。)

・・との懸念を表明し、支援ではなくロシアと直接交渉して和平推進することを求めている。

平たく言えば、「ウクライナへの無限支援よりも、ロシアと直接交渉して戦争止めようぜ」という妥当なもので、トランプの主張と近いものがある。

さらに、ウクライナに対しバイデン政権が非公式に「ロシアとの和平交渉に前向きな姿勢を示せや」と伝えているとか。

一部の国々の「ウクライナ疲れ」が深刻であることを踏まえて、「態度を改めろや」と言いたい印象を受ける。

また、ロシアによる発電施設への攻撃によって停電が深刻化するウクライナが和平交渉を受け入れる可能性なども指摘されている。

・・と、このようにアメリカでは急速にウクライナ支援を止める方向に進みつつあるのだが、この背景にあるのが民主党不利と言われる11月8日の中間選挙だろう。

つまり、選挙対策としてウクライナ支援の否定を持ち出し始めており、それは生活破壊が進むアメリカ国民の中で、ウクライナ支援に反対する民意が無視できないレベルになっていることを示している。

ウォール・ストリート・ジャーナルは11月3日付けの記事で、共和党支持者の約半数がウクライナ支援に否定的とのアンケート結果を報じている。

さらに、世論調査サイト「FiveThirtyEight」の中間選挙予測によると、下院では共和党優勢、上院はデッドヒートだが共和党優勢となっている。

20221106中間選挙予測

共和党はウクライナ支援の見直しを掲げて優勢になっていることを踏まえると、中間選挙の結果によらず、ウクライナ支援を無制限に継続することは非常に困難と言える。

そして、アメリカの支援なくしてウクライナは戦争出来ないため、大手メディアによる無限ウクライナ支援の否定は、戦争を終わらせるための下準備である可能性が高い。

また、選挙対策以外にも、欧州勢を潰すというウクライナ戦争の目的が概ね達成されていることも、戦争を終わらせる動機となっているのかも。

ウクライナへのミサイル攻撃の裏で経済・金融戦争は次のステージへ」で紹介したように、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアと阿吽の呼吸で戦争の激化・長期化を煽る裏側で・・

  1. イギリス債券市場が崖っぷちで潰れそう
  2. 安価なロシア産ガスが無くなったドイツは、産業・経済、農畜産業など全産業停止の危機で潰れそう

・・なことを紹介した。

このうち、③については「ロシアの部分動員令と戦争のエスカレートを望むアメリカ」等で紹介したとおり、ノルドストリーム破壊によって、欧州勢を潰すというウクライナ戦争の目的は概ね達成したと言える。(ノルドストリームの破壊とグレートリセットを推進するアメリカ)(ウクライナ戦争の真のターゲットはEU ユーロは崩壊へ

欧州では来年 1月にも民間へのガス供給が困難となり、IEA(国際エネルギー機関)からは3月までにストックを使い果たすとの予測が出されている。

これはIEAのWebサイトに掲載されているガス貯蔵量の予測グラフだが・・

欧州のガス貯蔵量の予測

・・年明けには危機的状況となりそうなことが分かる。

また、欧州の電力供給において頼みの綱となりそうな原発大国フランスでは、老朽化やストライキによって半数の原発が稼働停止しており、フランスは電力輸出国から純輸入国に落ちぶれているとか。

ドイツやフランスが欧州の盟主ヅラしてきたのは、ロシア産の安価な天然ガスを最大限利用して経済発展を遂げたからであり、現在のように高額なアメリカ産のLNGを購入し続ける限り、ドイツ・フランスは欧州盟主の座から転落寸前となっている。

さらに、欧州国民の間では「ウチらって実はアメリカにやられてね?」という真実を主張する人々が増え、「やっぱ格安の天然ガスとかくれるロシア大事だわ」との声が大きくなってきている。

ゼロヘッジさんによると、ドイツ、フランス、ベルギー、チェコ、ハンガリー等の欧州各国で、自分たちの首を絞めるウクライナ支援・ロシア制裁に反対する数万人規模のデモが頻発しており、「国民よりウクライナを優先する政治家、ダメ、ゼッタイ」を旗印に、NATOとロシア間の交渉による戦争終結を求めているとか。

このような声の高まり受けて、フランス大統領選では右派のマリーヌ・ルペンが善戦し、イタリアではジョルジャ・メローニを首班とする右派連合政権が成立するなど、リベラル左派からトランプ的な右派ポピュリストへと政権移行する流れが加速している。

なお、イタリア右派連合のベルルスコーニ元首相は、ウクライナ戦争について、ウクライナ側がミンスク合意を破棄したからロシアが侵攻せざるを得なくなった・・との認識を発言したことが報じられている。

さらに、フィンランドやスウェーデンのNATO加盟については、親ロシアのトルコやハンガリーが未だに承認していない。

このように、親ロシアのトルコやハンガリー、右派政権の主張は、ポーランドやバルト三国など反ロシアの急先鋒の国々とは180度異なっている。

NATOやEUでは、重要事項は全加盟国の賛成が必要とする「全会一致の原則」を採用しているため、今後は何も決められない機能不全となり、ウクライナ支援すら止められなくなってロシアとも当分和解出来そうにない。

と言うことで、EU・NATOは弱体化する流れが不可逆的に進行しており、将来的には対米離脱に繋がっていきそうな感じになっている。

ちなみに、日本はサハリン2に続いてサハリン1利権も確保するなど、ロシア制裁・封じ込めの輪から完全脱落しているが、これはウクライナ戦争の終結を見越しているからなのかもしれない。

ちなみに、イギリスも(またまた)追い込まれつつある。

実は、ノルドストリームが爆破されてから1分後に、イギリスのトラス前首相からアメリカのブリンケン国務長官に 「It’s done(作戦完了)」とのメッセージが送信されていたことが暴露されている。

トラス前首相が送った「It’s done」について、ロシアがイギリスに「どういうことか説明ヨロ」と問い詰めていることをタス通信はじめ(https://tass.ru/politika/16213285)いくつかのオルトメディアが報じている。

また、この件と歩調を合わせるかのように、トラス前首相の携帯がハッキングされて、外相時代の通信情報1年分が抜かれたことが大手メディアから報じられている。

BBCの記事では、トラス外相(当時)の携帯ハッキング被害をボリス・ジョンソン首相(当時)が隠蔽していたのに漏洩したことから、政府が深刻なセキュリティ問題と認識していることや、第一報を報じたMail on Sundayではロシアの関与を疑っていたがBBCでは確認できなかったことが報じられている。

まとめると、トラス前首相がノルドストリーム破壊に合わせて「It’s done」メッセージを送ったことが暴露されたタイミングで、外相時代にハッキング被害にあっていたことも(隠蔽されてたのに)暴露され、さらにロシアの関与は確認されなかった・・ということになる。

ノルドストリーム破壊の犯人はイギリス・・となりそうな感じだが、この暴露タイミングとハッキング被害の報道含めた手際の良さを踏まえると、関与したのはロシアではなく、イギリスのMI6との可能性も浮かんでくる。

このように、世界の支配者層シナリオに沿った形で、ドイツやイギリスと言った欧州のプチ覇権国の没落が進んでいる。

一方で、東アジアに目を向けると、北朝鮮がミサイルを打ちまくっており、特に11月2日には23発を連射するご乱心ぶりを見せつける。

さらに、北朝鮮からロシアに武器輸出している疑いが強くなってきている。

このほかにも、ウクライナ戦争に北朝鮮の軍人が動員されている話も出るなど穏やかではない中で、アメリカは「北朝鮮を核保有国として絶対に認めないんだかんね」との強い決意を表明したとか。

「北朝鮮の核保有を絶対に認めない」とは、何を話すにしろ北朝鮮の核廃棄からスタートすることを意味しており、北朝鮮からの交渉を絶対拒否する姿勢と言える

これは、アメリカからの「北朝鮮の暴走を止める気ナッシング宣言」だ。

こうした中で、あの原田武夫氏は朝鮮半島と台湾の「同時有事」に警鐘を鳴らす。

朝鮮半島と台湾の同時有事とは穏やかではないが、これはアメリカ軍の対応能力低下を踏まえたものだろう。

実のところ、8月の時点で米軍の弾薬不足が指摘されていた。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ウクライナへのミサイルや弾薬供給は米軍在庫を直接ウクライナに引き渡しているため・・

ある国防当局者は、ここ数週間で米軍の倉庫に保管されている155ミリ砲弾が「不快なほど低い」水準まで減ったと話した。米国が大規模な軍事紛争には関与していないため、在庫水準はまだ危機的ではないとしつつも、「戦闘に参加したい水準ではない」と述べた。

と、当局は生産が追い付かず「タマ切れ状態」になっていることを示唆している。

この状況で朝鮮半島有事に対応するのは難しいだろつから、それを見た中国が台湾に仕掛ける、とも読める。

うーん、ロシアが空軍を使わずに陸軍主体でグダグダしてたのは、アメリカ軍の弾薬を消耗させるためだったか・・。

以前に「白頭(ペクト)山の噴火と東アジアに起こる変化」では、白頭山の噴火という未曾有の災害を契機に朝鮮半島が統一に向かい、北朝鮮開発に絡む特需の発生というシナリオを紹介したが、どうやら噴火ではなく戦争によって同じことが起こりそうな感じだ。

また、新中華連邦として分裂することが既定路線の中国だが、「ゼロコロナ政策は中国共産党支配の崩壊へと繋がる」て触れたように、上海~深圳エリアの独立に際して仲間の台湾も同じ国として独立させる可能性はあり、台湾有事はその下準備ともとれる。

東アジア情勢は、一見して簿外資産が投入されそうな感じになってきているが・・無事に大金が投入されるのか、はたまた投入されずに「カネくれ」戦争となるのか。

ドイツ・フランス・イギリスと言った欧州のプチ覇権国家没落に加え、東アジアで予想される歴史的大転換・・時代が大きく変わる際に出てくると言う簿外資産の投入時期が近そうな感じだ・・が、まだ投入確定したワケではなさそうで、ウォール・ストリート・ジャーナルからは、欧米諸国はウクライナ支援を止められない(=戦争継続)とする記事が出ている。

また、イギリスのガーディアン紙からは、ロシアが支配するケルソン市では、住民に街から退去するよう呼び掛けられており、既に住民は3割ほどしか残っていないことが報じられている。

これについては、ケルソンの一部を無人とした上でウクライナ軍を誘い込み、一網打尽とする壮大な誘引の計なのではないか、一網打尽とするに当たっては戦術核が使われるのではないか・・との憶測が飛び交っている。

確かに、ロシアにとってウクライナ市民の恨みを買ってまで追い出す必要性は薄く、何らかの目的があるのは確かなようで、簿外資産投入の代わりに核戦争となるオプションがあり得ることを示唆しているのかもしれない。


最後まで読んでくれてありがとう!