ペトロダラー崩壊

ケニア大統領が警告するドル暴落とペトロダラー崩壊

ペトロダラー崩壊

ケニアのルト大統領が、自国民に対してドルを処分するよう呼び掛けたことが話題になっている。

以下は、NTB Kenya(ケニアの民放)が全国放送したルト大統領の国民向け演説だ。

※YouTube動画には、翻訳字幕をつけたり文字起こしする機能があるので、ご活用を!

ケニアのルト大統領が国民への演説で言った概要は・・

  • ドルを保有している人に無料のアドバイスをするで。
  • 数週間後にはドル市場は大きく変わるで。
  • 米ドルの価値は今後数週間で劇的に下がるから、損失を避けるためにも早いとこ処分した方がエエで。

・・と言ったところで、数週間以内のドル急落を警告している。この動画がアップされたのは3月22日なので、4月下旬頃には急落しそうな感じだろうか。

ネット上のウワサでは、ケニア大統領がドル急落を警告した理由に「サンドマン・オペレーション」なるものが挙げられている。

このウワサの出所は、陰謀論者ラジオ司会者として有名なハル・ターナー氏の「Halu Turner Radio Show(ハルターナー・ラジオショー)」のようだ。

ハル・ターナー氏曰く、サンドマン・オペレーションとは・・

  • 世界142ヶ国が参加する秘密合意で、1年以上前から存在している。
  • 合意の内容は、142ヵ国が、同日一斉に貿易決済でのドル使用を拒否して、米ドルをぶっ壊すというもの。

・・というドル破壊合意であり、この作戦が数週間以内に実行される可能性があるため、ケニアのルト大統領はドル急落を警告したんだとか。

そんな秘密合意ががホンマに存在するかいな・・と思うところだが、そういえば、あのロックステップ計画の存在を暴露したのは、ケニアと同じアフリカにあるガーナ大統領だった。

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また、アフリカのタンザニア大統領はPCR検査の妥当性を疑い、パパイヤ・ヤギ・ウズラのサンプルで新型コロナ陽性反応が出たことで、「こんなんウソやん」としてマスク・ワクチンを禁じた(その後急死)。

つい最近でも、カマラ・ハリス米副大統領のアフリカ歴訪のタイミングで、ザンビアの野党党首さんがアメリカをボロクソ言い始めたんだとか。

ザンビア野党党首さんが言った内容は・・

  • アメリカは、アフリカはじめ多くの国や地域でクーデターを扇動したり、多くの指導者を殺害して政権転覆してきた。
  • パトリス・ルムンバ(コンゴ独立の立役者)やナセル(元エジプト大統領)、ムアンマル・カダフィ(リビア元大統領)を殺害し、クワメ・ンクルマ(ガーナ独立の立役者で、CIAにより失脚)を失脚させた。
  • 同じ人類を奴隷化し、アフリカ人から搾取・略奪するなど、残虐な武力で成り立ってきた国。

・・と、これまでアメリカが世界中で多数の政権転覆工作を仕掛けたことや、アフリカ等の途上国から搾取を続けたことを厳しく非難している。

カラー革命などを念頭に置いたものだろうが、それらを「自然発生」ではなく「アメリカの政権転覆工作」としている辺りはガーナやタンザニア大統領と同じように「陰謀論」を暴露した形だ。

ただ、このタイミングで、アメリカ国防総省がアフリカ軍人をクーデター指導者として養成していたことを、米アフリカ軍(AFRICOM)司令官のマイケル・ラングレー海兵隊大将が認めたんだとか。

このクーデター指導者たちは、2008年以降、ブルキナファソはじめ5か国で9回クーデターを起こして8回成功したとのことだが、この事実を踏まえると、ザンビア野党党首さんが非難した政権転覆工作に関する「陰謀論」は真実だった。

カマラ・ハリスのアフリカ歴訪の目的は、アフリカ諸国にいる反政府勢力への指令(=内戦のタネ撒き)だろうから、それを嫌ったザンビア野党党首さんは真実を暴露してしまったようだ。

アフリカ政界のエライ人達は、陰謀論という名の真実を暴露してしまう癖があるようなので、サンドマン・オペレーションの話はともかく、少なくともケニアのルト大統領は、近日中のドル急落を知っている・・と考えても良さそうだ。

そういえば、前回の「元コインベースCTOが予測するハイパーインフレ=ドル崩壊」では、元コインベースCTOのバラジ・スリニヴァサン氏が、90日以内に1BTC=100万ドル(1億3000万円)になる予測をしていることを紹介したが、この理由はドル始め全通貨で起こるハイパーインフレだった。

インフレとは物価上昇であると共に、貨幣価値の下落であることを踏まえると、ルト大統領とバラジ氏は「近日中にドル急落=ハイパーインフレ」と同じことを言っていることが分かる。

また「ロシアの金・資源本位通貨は新世界秩序に向けたグレートリセット」で紹介した、Dr.苫米地氏の動画では・・

・・現在の通貨制度は、ハイパーインフレと金融恐慌により崩壊して「通貨リセット」され、金・資源本位制度となることがサラッと紹介されている。

さらに、Dr.苫米地氏は通貨リセットを目的としたハイパーインフレプランの存在を指摘していることから、ルト大統領やバラジ氏がそのプランの存在を知っていて、「ドル急落によるハイパーインフレ」が近日中に起こる・・と言っているのだろうか。

この点で気になるのが、ペトロダラーシステムの崩壊だ。

バイデンのサウジ訪問はペトロダラー終焉の合図」で紹介したように、ペトロダラーとは、サウジなど親米アラブ国家が石油をドル建てでしか売らず、さらに手に入れたドルをアメリカに還流(米国製兵器・米国債を買う)させるシステムのことだ。

石油需要が続く限りドルを過剰発行しても安泰であり、ニクソンショックで金(ゴールド)とのリンクが切れたドルに信用と基軸通貨性を与えていた。

そんなペトロダラーシステムだが、もしかしたら崩壊の瀬戸際にあるかもしれない。

アメリカの巨大金融資本が引き起こした銀行破綻とQE再開」では、クレディ・スイス筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクが追加の資金供給を拒否したことや、中国が親米サウジと反米イランの関係を修復したことなどから、中東におけるアメリカ覇権の衰退と中国(&ロシア)陣営への覇権移行が起こっていることを紹介した。

この後も、中国は反米シリアとサウジアラビアの和解まで成立させ、中東のアメリカ覇権衰退を確定的にしているところだが、こうした中で、親米産油国のサウジが完全にロシア・中国陣営入りするようで、上海協力機構に加盟申請したことが報じられている。

ペトロダラーシステムの中で、サウジはアメリカの安全保障の下にいた。

そんなサウジの上海協力機構への加盟申請は、ロシア・中国陣営の安全保障ブロックに加盟するということを意味するもので、ウクライナ戦争を機に進めていたサウジの離米は確定的となったと言え、経済・金融面での脱アメリカを意味するBRICS加盟も時間の問題と言える。

そうなれば、石油をドルでしか売らない「ペトロダラー」は崩壊は確実に現実化する。

なお、「ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル」で紹介したように、サウジをに追い込んだのはトランプ政権・バイデン政権によるサウジ冷遇であり、その点ではアメリカによる意図的なドル崩壊劇の可能性はある。

また、ペトロダラー崩壊の前段階として、「脱ドル(ドル離れ)」も始まっているが、あまりに急激に展開しているためこのツイートを参照したい。

中国やロシアだけでなく、インド、マレーシア、アルゼンチン、ブラジル、イラン、UAE、サウジアラビア、ケニアの名前が見える。

元々、ロシアや中国はドル代替決済システムを構築していたが、ここ数か月で急速にドル以外の通貨(人民元・ルーブル・相互通貨)を活用した取引が拡大しており、ASEAN等の東南アジアやアフリカ諸国において、人民元決済や相互通貨での貿易決済の話が進んでいる。

さらに、エネルギー取引に関する米ドルのプレゼンス低下を示唆するこの記事。

内容は、UAEが出荷する65000トンのLNG(液化天然ガス)について、中国の国営石油会社の中国海洋石油グループ(CNOOC)が、フランスのトタル・エナジー社に、CIPS経由の人民元建てで売却するというものだ。

これまでドル建てしか許されていなかったペルシャ湾のエネルギー類を、UAEが人民元建てで販売するようになったという点で「ペトロダラー崩壊」に繋がる歴史的大転換と言える。

また、この大転換に協力したのがアメリカ陣営のフランスだったワケだが、そんなフランスのマクロン大統領は、欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエン氏と共に訪中してキンペーさんと会談するとか。

ウクライナ問題解決のため、キンペーさんに協力要請することが目的としているが、人民元建てでのLNG購入やフォン・デア・ライエン氏と共に訪中している点を踏まえると、エネルギー確保と引き換えに中国主導の和平案でウクライナ戦争を決着させ、中国のプレゼンス向上に強力しようとしているのは間違いなさそう。

となると、マクロン大統領とフォン・デア・ライエン欧州委員長の動きは「離米」を示唆するものであり、「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」で紹介した、今年中の欧州分裂・内戦(第三次世界対戦?)へと発展する可能性もあるかもだ。

EU内で対米従属派 vs 対米離脱派の抗争となりそうだが、以前に紹介したように、現状のEUは経済面でドイツが一人勝ちする「ドイツ第四帝国」とであることを踏まえると、フランスは離米した上でロシア・中国と結んでドイツ潰しに動き出すのかも。(NATO vs ロシアの第三次世界大戦でドイツは消滅!?

こうした中で、OPEC+は突然の追加減産を発表した。

サウジの50万バレル減産を筆頭に、5月まで100万バレル減産するというもので、原油価格は大きく上昇した。

以下は、ブレント原油価格のチャートだが・・

20230403ブレント日足チャート

・・OPEC+の100万バレル追加減産の報道後の月曜日に、窓開け上昇していることが分かる。

なお、この減産については・・

・・とのことで、アメリカは原油価格が72ドルを下回ったらSPR(戦略石油備蓄)を補充するとしていたところ、それをしなかったためOPEC+は減産に踏み切ったとする。

単純に、アメリカのSPR需要が無くなったので過剰生産分を減産するようにも思えるが、アメリカにとってはSPR補充が不可能となり、再びエネルギーインフレになった際にエネルギー価格を下げる手段を失ったことになる。

さらに、今回の減産の半分(50万バレル)はサウジ担当であり、アメリカは子分サウジの離米で原油価格のコントロール能力を完全喪失したことが浮き彫りとなった。

さらに、この減産・原油価格高騰は、意外な影響を及ぼす。

欧米陣営諸国では、昨年12月5日からロシア産原油に60ドルという価格上限を設定したが、元々ロシア産原油(ウラル原油)はブレント原油より25~30%ほど安かったので、実際には上限60ドルになることは無く、制裁してるフリで済んでいた。

ところが、今回の原油価格上昇によってブレント価格が85ドルを超えてくると、ロシア原油は60ドルになってしまうんだとか。

60ドル超えると欧米諸国は困ってしまうのだが、日本は現在進行形でロシア原油の価格上限を(資源が無いことを理由に)破っているとか。

日本の上限破りは、ロシア原油の価格規制の崩壊に繋がると指摘されており、世界的な原油高騰を受けて、欧米陣営の中で(日本を見習って)造反組が出そうな感じとなっている。

ここまでをまとめると・・・

  • サウジの上海協力機構への加盟申請で、ペトロダラーの崩壊が現実的に見えてきた。
  • 世界の貿易決済において脱ドル化が進んでおり、中東の天然ガスの人民元決済も始まった。
  • アメリカは自国への影響の大きなサウジ・ロシア主導のOPEC+による原油価格吊り上げを止められず、原油価格のコントロール能力を完全に喪失
  • ロシア原油の上限規制崩壊
  • アメリカ陣営の国々の一部が、中国・ロシア陣営に寝返りそう(フランス、日本)

・・といったところか。

と言うことで、ドルに基軸通貨としての信用を与えていた、「石油が買える唯一の通貨」「みんなが使える通貨」といった価値を急速に失いつつあることが分かる。

この脱ドル化とペトロダラー崩壊が如何にヤバいかと言う点について、元アメリカ財務次官補のモニカ・クロウリー氏がFOXニュースで見解を述べている。

ツイ主さんが翻訳してくれている内容をざっくりまとめると・・

  • ニクソンショック(米ドルの金兌換停止)以降、ドルはアメリカの軍事・経済力とペトロダラー(石油が買える唯一の通貨・サウジからのドル還流)によって支えられてきた。
  • なので、アメリカの経済力&ペトロダラーの消失は、米ドルの終焉を意味する。
  • アメリカは、ドルが基軸通貨であることを良いことに、長年に渡り無謀な金融・財政政策を続けてきたため、ここ数年でドルの価値は大きく低下した。
  • ウクライナ戦争を機に、反米・非米諸国は新たな経済ブロックを形成しつつあり、サウジアラビアもドル以外の通貨による石油取引を始めることに積極的だ。
  • それが実現すれば、アメリカは第一次大戦後のドイツのようなハイパーインフレとなって米国経済は崩壊し、超大国としての地位も失う。

・・と言うことで、時間の問題となっているサウジのペトロダラー廃止→米ドルの基軸通貨性喪失→アメリカ即破滅でハイパーインフレになるとのこと。

サンドマン・オペレーションの真偽は不明だが、現実に脱ドル化・ペトロダラー崩壊による、ドル急落=ハイパーインフレが迫っている?

ちなみに、前回の「元コインベースCTOが予測するハイパーインフレ=ドル崩壊」では・・

  1. ドル弱体化と通貨システム崩壊級の金融危機によってCBDCに移行する。
  2. CBDC移行時に事実上の通貨切り下げとなり、インフレはハイパーなインフレにランクアップ
  3. ビットコインが急騰、「何らかの裏付け」を持つデジタル通貨の必要性を知らしめることに(ハイパービットコイニゼーション)
  4. 大本命の世界統一デジタル通貨(金・資源本位通貨)爆誕

・・との流れを紹介した。

ケニアのルト大統領が警告する数週間以内の「ドル急落」というのは、①の始まりなのだろうか・・・。


最後まで読んでくれてありがとう!