ウクライナにあるザポリージャ(ザポロジェ?)原発への攻撃があったことが話題になっている。
ウクライナ・ザポリージャ原発に新たなロケット弾 IAEAが「核惨事」を警告 https://t.co/JNFcE50559
— cnn_co_jp (@cnn_co_jp) August 8, 2022
ザポリージャ原発は欧州最大の原発であり、何かあった際にはウクライナ南部や隣国は死の街と化すことになるワケたが、ロケット弾は使用済み核燃料貯蔵施設のすぐ近くに着弾したとか。
原発の燃料は、使用中・使用済みを問わず管理しないと危険なものだ。
東日本大震災の時に発電停止していた福一4号機では、燃料棒は冷却プールに入っていたものの、燃料棒の発熱は続いていたため、最後にはウランが酸素と反応して水素が発生し水素爆発を起こしている。
IAEAさんも「原発やったらアカンで」と非難しているところだが、ロシア・ウクライナ共に「あいつがやった」と言い合っている中にあって名指しの非難は避けている模様だ。
ただ、ザポリージャ原発は数百人のロシア軍が常駐しているため、ロシア軍による攻撃とすると、ロシア軍がロシア軍を攻撃したことになり、明らかにおかしい。
ウクライナ絶対正義の国際社会が、明確にロシア非難してない理由はこれか。
また、ウクライナさんは、ロシアはザポリージャ原発をウクライナ送電網から切り離して、ウクライナ南部を停電させようとしているとする。
ザポリージャ原発攻撃 在ウィーン国際機関ウクライナ常駐代表「ロシアが南部の停電引き起こそうとしている」 https://t.co/GBGzAJhWrK
— TBS NEWS DIG Powered by JNN (@tbsnewsdig) August 8, 2022
ただ、ロシア軍はザポリージャ原発を3月4日に制圧・占領している。ウクライナ国内への送電を止める気なら指先一つでダウンさせられる。
わざわざ、自国軍の占領下にある施設を攻撃する理由にはならない。
さらに、先月までのウクライナ軍は、ザポリージャ原発を占拠するロシア軍をドローン攻撃していたことを公表していた。
ウクライナ軍が神風ドローンでザポリージャ原子力発電所を攻撃 いくらなんでも危険すぎる https://t.co/k8zD6riLKZ#デイリー新潮 @dailyshincho
— デイリー新潮 (@dailyshincho) August 5, 2022
新潮さんの記事にある
7月20日、ウクライナ軍は「自国の攻撃型ドローンがロシア軍によって占拠されたザポリージャ原子力発電所を攻撃した」と発表した。ウクライナ軍によれば、攻撃ドローンで3人のロシア兵が殺害され、12人のロシア兵が負傷した。攻撃を受けて爆発する施設や逃げ惑うロシア兵の様子なども公開されている。
の部分は、
を彷彿とさせる。
原発で使用されるウランの濃縮度は5~10%程度なので核爆発には至らないものの、水素爆発等で撒き散らされた放射性物質は広範囲に降り注ぐため、ロシア軍は撤退することになる。
ウクライナが戦果を誇ってた理由はそれか。
ウクライナ軍が使用したドローンは攻撃力が弱く原子炉の格納容器は破壊出来ないとのことだが、原発を制御不能としたり燃料保管プールを破壊することは可能だっただろうし、そうなれば被害はウクライナ一国に留まらない。
国土の荒廃や隣国への被害をいとわないウクライナに欧州諸国はドン引き&激怒したようで、今回の原発攻撃をロシアのせいにしたのは、この時の反省があるからだろうか・・。
こうした状況を踏まえると、今回の原発攻撃はウクライナ軍によるもので、しかも原発の損傷も気にしてなかった・・と考えるのが妥当だろう。
ちょっとぶっ飛んでますね。
さて、このような原発(核)危機を踏まえて思い出されるのは、原田武夫氏がロシアによる核兵器の使用を仄めかしていたことだろう。
— 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA) (@iisia) April 15, 2022
この動画の最後の最後で、ロシアは戦術核を使うと思う・・と核の使用を予測していた。
つまり、このウクライナ危機では、核兵器の使用により「一線を越えたロシア」となることが見込まれていた。
とは言え、核兵器の使用はアメリカの軍事介入&核戦争を招くため、ロシアにとっては亡国の道となるだろうし、戦況がロシア優位に展開する中で核兵器を使用するとは考えにくい。
また、プーチンはNPT(核拡散防止条約)に向けて「核戦争に勝者なし」との書簡を送る形で、核兵器の不使用を名言している。
プーチン氏「核戦争に勝者なし」、NPT会議向け書簡で表明 https://t.co/8ah7qcWTyV
— ロイター (@ReutersJapan) August 1, 2022
これは、「ワシゃ絶対核兵器を使わへんで」の宣言とも受け取れる。
やはり、プーチンに核兵器を使わせるのは難しいため、原発事故に切り替わったのかもしれない。
ただ、ロシア軍はウクライナ侵攻直後にチェルノブイリやザポリージャ原発を制圧しており、ウクライナ軍による原発自爆特攻も全力回避の姿勢だ。
やはり、両方とも難しいか・・と思っていたら、クリミアにあるロシア海軍航空部隊の基地で爆発事故が発生したことが報じられた。
Ukraine Claims Unprecedented Attack On Russian Airbase Deep Inside Crimea https://t.co/HkUpWk89hP
— zerohedge (@zerohedge) August 9, 2022
ロシア側は「事故っす」、ウクライナ側は「やっちゃいました」としており、原因は不明とか。
※ロイター報道では、ウクライナは関与を否定
ただ、今回の爆発事故のあったサキ基地は、クリミア半島内陸部にあり、ウクライナ軍の前線から200キロも離れている。
仮に、ウクライナ軍の攻撃によるものとすると、アメリカ供与のハイマースの射程制限に疑問が出るところであり、ロシアに緊張が走る展開となる。
もしも、ロシアが追い詰められれば「戦術核オプション」の封印が解かれる事態にもなりかねない。
事態は、核兵器使用と原発事故の間で揺れている。
こうした状況との関連は不明だが、先日、国際NGOのアムネスティがウクライナ軍を非難する報告書を提出した。
アムネスティ ウクライナ軍について市民を危険にさらし「国際人道法に対する明らかな違反」あるとの見方示す https://t.co/OaMjdG8fyQ
— TBS NEWS DIG Powered by JNN (@tbsnewsdig) August 5, 2022
ウクライナ軍による市民の盾作戦(学校や病院を含む住宅地への軍事拠点の設置や、住宅地からロシア軍を攻撃する等)や、国外脱出を禁止された18~60歳までの民間人男性を武装市民とするなどの行為を非難するものとなっている。
民間人を充分に保護出来なかったことではなく、積極的に民間人を盾にしたことを非難するもので、「長期化するウクライナ戦争で明暗が別れるドルとビットコイン」等で紹介したとおりのものだ。
その点では報告書の内容は正当なものなのだが、疑問なのはこれまでのアムネスティは絶対正義ウクライナの流れに従ってロシアの蛮行を非難してたのに、その姿勢を突如として180度転換した変えたことにある。
また、この件に関連して、アムネスティのウクライナ事務所長は「抗議の辞任」をしたとか。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのウクライナ事務所代表オクサナ・ポカルチュク氏は5日、代表を辞任したと明らかにしました。同団体が4日公表した報告書が「ロシアを利する」として、抗議した形です。https://t.co/JoJF9g34OQ
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) August 6, 2022
この辞任劇からは、今回の件に関わりの深いウクライナ事務所が外されていたこと、そして、アムネスティはそこまでして姿勢を転換したことが分かる。
ウクライナの非人道性を指摘して欧米諸国のウクライナ支援を鈍らせ、戦争を早期終結させる目的があったのは間違いないだろうが・・問題なのは、アムネスティの姿勢を転換させた黒幕が誰かということだ。
考えられるのは、ロシアの報復制裁に苦しむドイツ等が「もうイヤどす」としてアムネスティを動かした可能性はあるだろう。(欧州はエネルギー危機により破綻に追い込まれる)
ただ、アムネスティ報告書とザポリージャ原発攻撃の時期が近いことを踏まえると、原発攻撃を避けたい勢力が黒幕・・と考えるべきだろうか。
実は、欧州最貧国ウクライナは何度かIMF融資を受け入れているが、融資と引き替えに農地の民営化(=外資による土地所有)をやらされており、肥沃なウクライナ農地の大半を国際金融資本が買とっている。
つまり、この件の黒幕は、核兵器or原発事故による放射能汚染を受け入れられない国際金融資本(内部のウクライナ利権チーム)と考えられる。
プーチンがウクライナからの穀物出荷を了承したのも、核兵器or原発事故回避で利害が一致する国際金融資本(内部のウクライナ利権チーム)への配慮なのかもしれない。
ただ、ウクライナはアムネスティに対して「犠牲者と侵略者を一緒にすんな!」と(内容は否定せずに)ブチ切れており、アムネスティはごめんなさいすることに。
アムネスティ、ウクライナ批判の報告書で遺憾表明 https://t.co/gcKGw2hSft
— ロイター (@ReutersJapan) August 7, 2022
アムネスティさんは「ウクライナさんに嫌な思いさせてごめんなさい」と、学級会で吊し上げられた子供のような反省を口にしている。
終戦工作は完全に失敗したようだ。
ただ、「でもでも、報告書の内容は正しいもん」としているので、将来的にウクライナの非人道性が喧伝されることになりそうではある。
いずれにせよ、戦争継続は確定したので、何処かの段階で核兵器使用orザポリージャ原発での重大インシデント発生の可能性は高くなる。
さて、この核兵器or原発事故で懸念されるのは何と言っても食糧危機だ。
「ロックフェラー財団の警告 6ヶ月以内に食糧危機が起こる」で紹介したように、ロックフェラー財団のラジブ・シャー会長は、今年の秋頃の食糧危機を警告(予告?)している。
ただ、今のところ、小麦価格は落ち着いている。
以下は小麦先物の週足チャートだ。
先日より、ウクライナからの穀物出荷が再開されたところだが、それとは無関係に大きく下落していることが分かる。
日足で見ると、明らかに下落トレンドに突入している。
2020年頃の500ドル程度から見れば、まだまだ1.5倍くらい高いものの、ウクライナ侵攻直後の3月8日につけた1358ドルからは大幅に下落していることが分かる。
まあ、750ドル辺りをサポートに反転するかもしれない感じではあるが、10月頃に食糧危機が起こるとするなら、今頃は高値圏でウロウロしてても良さそうなもの。
こうした点を踏まえると、食糧危機とはウクライナにおける核兵器使用or原発事故によって、肥沃な黒色土壌に覆われたウクライナ南部や近隣諸国の農業を壊滅させることで「起こす」ものと推測できる・・気がする。
なお、放射性物質による被害は、実際に放射線が検出されたか否かより、風評の過剰喧伝によるところが大きいことは福島第一原発の事例から明らかなので、少しでも「放射性物質が農地に降り注いだ」という事実があれば食糧危機を起こすことは可能となる。
いずれにせよ、「穀物・食肉の大量生産」から「昆虫食」等への転換に食糧配給制・UBI等が絡む「食糧システムのグレートリセット」は加速することになる。(オランダの畜産制限から見える食糧危機の本質)
また、核兵器or原発事故で懸念されるもう一つの展開として、欧米陣営とロシアの完全なるデカップリングが考えられる。
また、中国などロシア陣営諸国がどう動くかは不明だが、「ロシアさん、しゃーないで。悪いのはウクライナや」となれば、「ロシアの金・資源本位通貨は新世界秩序に向けたグレートリセット」等で紹介した金融システムのグレートリセットは一気に進むことになりそう。
まあ、「さすがにマズイやろ・・」となるかもしれんが、そうなると、代替システム不在のまま現行の金融システム崩壊を迎えることにもなりかねない。
なお、ザポリージャ原発には戦術核兵器を遥かに凌ぐ量のウランが保管されていることを踏まえると、原発事故より核兵器の方が放射性物質の被害は少ないと言える・・が、核兵器の人的・物的被害は甚大だし、何よりも今後の核兵器使用のハードルが下がる可能性もある。
そこんとこ踏まえてどう展開していくのか・・。
最後まで読んでくれてありがとう!