欧州内戦

7月11日第三次世界大戦勃発というヌーランド発言

欧州内戦

インドのwebメディアTFI Globalより、アメリカ国務次官のビクトリア・ヌーランド氏が「7月11日に第三次世界大戦開戦するかもしれんぞ」と言及したことを報じて話題になっている。

TFIGlobalの記事によると、ヌーランド国務次官はウクライナとのビデオ会議(映像は削除済み)の中で・・

  1. 7月11日に第三次世界大戦が勃発する可能性
  2. アメリカとその同盟国が、16年以上も戦争を継続する可能性

・・に言及したとか。

このタイミングで「第三次世界大戦」の話が出てきたのは、ウクライナ戦争が・・

  • ドンバス最後の戦略的要衝バフムトがワグネルに陥落させられるなど、ドンバス全域をロシア軍(ワグネル)が制圧
  • 前評判の高かったウクライナ軍の大反攻は、3日で失敗が確定した

・・と、ウクライナ軍の敗北が避けられず、このままだと戦争が終わってしまうからだろう。

アメリカにとってのウクライナ戦争とは、アメリカがウクライナに攻撃的な外交政策を取らせてロシアの侵攻を誘発して欧州・ロシアの関係を断絶させるという、ドイツ経済没落を目的としたものであることは「ロシアの部分動員令と戦争のエスカレートを望むアメリカ」で紹介したとおりだ。

加えて「アメリカが世界で仕掛ける戦争の目的はドルの崩壊?」等で紹介したように、金融危機や脱ドル、ペトロダラー崩壊からのドル崩壊(=金融システムのグレートリセット)を望んでいるのは、他の誰でもないアメリカ自身だ。

また、ロシアにとっても、戦争長期化するほどに欧米勢が自滅していくため好都合であり、ロシア軍は正規軍(特に空軍)をほとんど使わずワグネルに地上戦を任せたり、バフムトから謎撤退したり、ワグネルへの弾薬供給を謎停止するなどしてきたが・・いよいよ勝たざるを得なくなった。

この点で、アメリカとロシアは戦争長期化で一致していたと言え、いよいよウクライナ軍の敗北が隠せなくなってきた現段階において「第三次世界大戦」を誘発し、ドイツを対ロ戦争に引きずり込んで没落&ドル覇権喪失する・・に繋げていくことになりそうだ。(ウクライナへの戦車供与によりドイツvsロシアの直接戦争へ)(ドイツ対ロシアの戦争が迫っている兆候

さて、ヌーランド氏が開戦日とする7月11日は、リトアニアの首都ビリニュスにおいてNATO首脳会議が開催される予定となっている。

ちなみに、NATOとは関係ない日本の岸田首相も何故か出席予定で、さらに会議後にはロシア・中国陣営に寝返ったサウジやUAEも歴訪するとのことで、一体何兆円バラ撒いてくるのか不安しかないが・・そろそろ刺されそうだな。

まあ、金ヅルさんの動向は置くとして、ヌーランド氏が第三次世界大戦のためにNATO首脳会議の場で仕掛けてくるのは「ウクライナのNATO加盟」だろう。

基本的に、NATO加盟国には相互防衛義務が課されるため、ロシアと戦争中のウクライナ加盟はキケン過ぎるとしてドイツやフランス始め多くの加盟国が難色を示しており、「全会一致」が必要なウクライナのNATO加盟が認められる可能性は皆無だ。

しかし、NATO内部で反ロシア急先鋒のポーランドやバルト三国がウクライナのNATO加盟が認められない場合には、自国軍のウクライナ派兵を示唆するなど、NATO内部が騒がしくなっているのは「アメリカは信用収縮と戦争によって金融危機に」で紹介したとおりだ。

ゼロヘッジさんの記事によると、前NATO事務総長のアナス・フォー・ラムスセン氏は「ウクライナをNATOに加盟させないなら、ポーランドやバルト三国はウクライナ戦争に直接派兵するぞ」と警告しており、ウクライナ加盟を承認してもしなくてもNATO参戦という未来予想図をチラつかせているとか。

ゼレンスキー大統領顧問となっているラムスセン氏は単なる「ポジショントーク」のつもりかもしれないが、ポーランド・バルト三国と具体的な名前が挙がっている点からは、ヌーランド氏が上手いこと動いている可能性を感じるところ。

また、本来的なNATO相互防衛義務とは、超大国ソ連に対して「オレたち一人一人は弱いけど団結すれば何とかなるべ」というパッシブなものだったが、ソ連崩壊後はアメリカ主導の「集団先制攻撃」に活用されている(コソボ紛争など)実績もある。

つまり、ヌーランド氏はロシア恐怖症のポーランドやバルト三国に対して・・

「このままだとウクライナは負けるけど、キミらがロシアと開戦すれば自動的にNATO参戦や!正義の攻撃!自由と民主主義の勝利!」

・・と、その気にさせているのかもしれん。

そうなると、NATO首脳会議の場でウクライナ加盟議案の否決後に、ポーランドやバルト三国がロシア派兵を宣言し、相互防衛義務によってなし崩し的にNATO vs ロシア・・となる可能性が考えられる。

そもそも、ヌーランド国務次官と言えば、反ロシア・反プーチンの急先鋒で、ウクライナ戦争の仕掛人でもある。

16日のロシア軍事侵攻はアメリカのガセネタだったが目的は達成」で紹介したように、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領に引導を渡したマイダン革命の背後には・・

アメリカ合衆国連邦政府のヌーランド国務次官補とパイエト駐ウクライナ・アメリカ特命全権大使との、ヤヌコビッチ政権崩壊後の新政権人事の協議をしていた、2014年1月28日の電話会談が暴露され、ウクライナの反政府デモを主導したのは、アメリカ合衆国であった。

Wikipedia 2014年ウクライナ騒乱より抜粋)

・・と、選挙で選出された親ロシア派の大統領を引きずりおろす暴力的デモをアメリカが誘発したことが歴史的に確定しており、そのミッションをこなしたのがヌーランド国務次官だった。

また、マイダン革命時には、ヤヌコビッチ側が非武装の市民デモ隊を銃撃・殺害したことされているが、ウクライナ側の裁判での調査記録から、デモ隊が占拠した建物からの銃撃によってデモ隊自身が殺害されたことが確認されたとか。

さらに、先日爆破されたノルドストリーム・パイプラインについて、アメリカ国務省の公式アカウントで「ロシアがウクライナに侵攻したら、ノルドストリーム2は動かなくなるで(byヌーランド)」の発言がツイートされている。

今のアメリカは「ノルドストリームを爆破したのはウクライナでした!」と喧伝しているが、ウクライナにそんな能力は無いため、ヌーランド氏の予告どおりアメリカがやった可能性は極めて高い。(ノルドストリームの破壊とグレートリセットを推進するアメリカ

・・と言うことで、ウクライナ戦争の開戦・拡大で暗躍したヌーランド氏が、今では第三次世界大戦を予告しているのだった。

ちなみに、このタイミングでヌーランド国務次官昇格のウワサが出ているとか。

6月30日付で辞任する国務副長官の後任としてヌーランド氏の名前が挙がっているようで、評判の悪いヌーランド氏の出世にアメリカ国務省はパニックになっているとか。

これはアメリカ・バイデン政権による、ウクライナ危機を活用してグレートリセットを不可逆的に開始するとのミッションを達成する動きの一環だろう。

関連記事

ここ最近、バイデン大統領の息子のハンター・バイデン氏に関するスキャンダル情報が続々と報じられている。以前に「ウクライナ疑惑の新たな証拠!?真の疑惑はトランプかバイデンか」で、修理に出された持ち主不明のノートパソコンの中に、ハンター・[…]

アメリカ

なお、アメリカではロシアによる戦術核or原発攻撃が実行された場合にNATO参戦することにしたようで、ポーランドやバルト三国が派兵しなかった場合のBプランも準備済みのようだ。

と言うことで、アメリカサイドは第三次世界大戦の準備が出来ているのだが、実はロシアサイドも準備を整えつつある。

それが、先日のワグネル・プリゴジン氏によるクーデター騒ぎで、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲裁して、プリゴジン氏の罪は不問となり身の安全が保障されてベラルーシ送りとなって終了した。

しかし、本来は処刑相当のクーデター罪を不問とするのは、いくら何でも好待遇過ぎないだろうか・・と思っていたら、キムドットコムさんからこんな情報が。

なんと、ワグネル傭兵部隊がベラルーシで健在だとか。しかもベラルーシはロシアよりもキエフにずっと近いのということは、地図を見れば明らかだ。

ベラルーシとウクライナの地理関係

プリゴジン・ワグネルが、ベラルーシ国内で自由に活動出来るとするならば、クーデター騒ぎは、ワグネル部隊をキエフ周辺に配置するための自演劇だった・・と見ていいだろう。

この1日足らずのクーデター騒ぎで恐ろしいのは、キムドットコムさんの以下の見解だ。

訳すと・・

最もクレイジーな24時間ワーナー・グループの事態が解決したことで、状況は変わりそうだ。

これはプーチンへの警鐘だった。彼はもうウクライナでのアメリカの代理戦争をゆっくりやる余裕はない。

・・と言うことで、ロシアに「のらりくらり」やる余裕がなくなったことを示唆している。

これは、これまでワグネル傭兵部隊に大きな犠牲の出る地上戦を任せていたが、これからはロシア正規軍投入でサクッと終わらせる必要がでてきたことや、ワグネル傭兵部隊を得たベラルーシの軍事力が大きくなったことを意味する。

特に気になるのはベラルーシの方で、気を大きくした変人ルカシェンコ大統領が・・

ベラルーシからウクライナ侵攻

ロシアには遠慮した欧米勢、ウクライナ軍についてベラルーシ・ワグネルを撃退

ベラルーシ、国内まで攻撃されたとして、まさかの戦術核発射

・・なんて展開になるかも。そうなれば、アメリカが用意した「プランB」発動で第三次世界大戦となる。

と言うことで、第三次世界大戦の開戦は・・

  1. ポーランドやバルト三国がウクライナに派兵(対ロ参戦)してNATO相互防衛義務が発動
  2. ワグネル軍を得たベラルーシのルカシェンコ大統領が調子に乗って参戦・敗北・核兵器使用

・・の2パターンが考えられ、アメリカ・ロシア共に抜かりはなさそう。

また、アメリカ・ロシア以外に国際金融資本もウクライナ戦争の継続派だが、これは世界最大級の資産運用会社ブラックロックの採用担当者が、覆面取材に引っかかって暴露してしまった。

ブラックロックの採用担当がペラペラしゃべった内容は・・

  • 重要なのは「大統領本人」ではなく「大統領の財布を握っている者」であり、ファンドや銀行が政治を動かしている。
  • 政治家を買収するのは簡単で、上院議員なら10万ドル程度で買収可能だし、50万ドルで何も聞かずに言うことを聞く。だから誰が当選するかは関係ないし、どの金融資本もやっていること。
  • アメリカ政府は、金融・経済面で何をすればいいか分かっておらず、ブラックロックに予測を頼っている。
  • ロシアとウクライナの戦争はビジネス面で非常に良いことなので、戦争を終わらせたくない。
  • 例えば、ロシアがウクライナの穀物倉庫を爆撃すると小麦市場は爆上げするから、儲ける機会が出てくる。
  • ウクライナ戦争を例として、ニュースは(金融資本にとって)都合のいいことを放送するプロパガンダに過ぎない。
  • 今話したようなことは、一般人の理解を超えているため誰も気にしない。

・・と言うことで、国際金融資本もウクライナ戦争を継続させる気マンマンで、政治家まで買収済みのようだ。

ちなみに、この成果と思われるのが、以前にも紹介したイギリスのボリス・ジョンソン元首相が潰した2022年3月のロシア・ウクライナの停戦協定だ。

6月14日から開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(ロシア版ダボス会議)の場においてプーチン大統領が未公開の協定案を公開すると共に、成立寸前だったことをアフリカ首脳陣に暴露したとか。

ちなみに、その停戦協定の内容は・・

  • ロシア軍はドンバスまで撤退
  • ウクライナの中立化
  • イギリス・中国・アメリカ・トルコ・フランス・ベラルーシによるウクライナの安全保障
  • ウクライナのNATO加盟断念
  • ウクライナの非武装化・軍縮

・・と言うロシアの要求を完全に飲んだものだったが、イギリスの圧力に屈したウクライナは、停戦を前提にロシア軍がキエフ周辺から撤退したタイミングで撤回したとか。

恐らく、プーチン大統領がウクライナ戦争を長期化させる方向に戦略転換したのも、これが原因だろう。

さて、第三次世界大戦と言えばNATO(主にドイツ) vs ロシアを中心とした欧州内戦型となりそうなのは、「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」「ドイツ対ロシアの戦争が迫っている兆候」等で紹介したとおりであり、アメリカはあまりやる気を見せていない。

その片鱗が、アメリカ・バイデン政権が、ウクライナにイスラエルと同様の安全保障を提供することにしたことだろう。

アメリカはイスラエルに兵器類&資金提供という安全保障(10年毎に更新)を提供しており、ウクライナにも同じ保障をするとのことで、あのイスラエルさんと同じ待遇とはウクライナもエラくなった・・と思ったが、よく考えたら今やってる支援と何も変わらない。

そもそも軍事大国・核保有国イスラエルと同じ支援を欧州最貧国ウクライナに提供しても、上手く行くハズがないのは現状が示すとおりだ。

だが、これこそがアメリカの態度・・つまり、アメリカは基本的には武器とカネの提供のみで、現場(戦場)ではドイツを矢面に立たせることを企図している可能性が高いのは「ウクライナへの戦車供与によりドイツvsロシアの直接戦争へ」等で紹介したとおりだ。

そもそも、アメリカでは欧州の戦争への参戦に否定的な世論が強く、第二次世界大戦の時も英仏が苦戦する中でアメリカは真珠湾を待たねば参戦出来なかった。

また、「アメリカは信用収縮と戦争によって金融危機に」で紹介したように、アメリカではCRE市場に端を発する金融危機も予測されており、第三次世界大戦どころではないだろう。

さらに、欧州勢も一枚岩ではなさそう。

ニューズウィークの記事によると、NATOとロシアの全面戦争の可能性は高まっているとしつつも、NATOは過度な軍縮によって戦争出来るような状況にはないとしているほか・・

NATOはエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドには既に戦闘群を配備している。

・・とあり、「ドイツ対ロシアの戦争が迫っている兆候」で紹介したNATO加盟国が対ロシア想定で編成したVTJF(高高度即応統合任務部隊)が配置されていることを伺わせる。

VTJFの担当国はドイツであり、ドイツはいきなり第三次世界大戦に巻き込まれることになる。

なお、EU内ナンバー2のフランスは・・

  • ドル依存や対米従属の見直しの必要性を訴えている
  • 実際に天然ガス取引において「脱ドル」を進めている
  • フランス主導でのEU自立(対米離脱)を主張

・・なのは以前にも紹介したとおりで、フランスは対ロ戦争に参戦しない可能性が高く、他のEU諸国も追随するだろう。

つまるところ、ドイツ以外で対ロシア戦争に参戦するのは、ポーランドやバルト三国などの弱小の反ロシア国家だけという可能性が高い。

この様相で思い出されるのが「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」で紹介した、ロシアのメドベージェフ元大統領が2023年に起こる出来事として予測した・・

2. 英国はEUに再加盟する

3. 英国の復帰後、EUは崩壊する。ユーロは旧EU通貨として使用されなくなる

4. ポーランドとハンガリーは、旧ウクライナの西部地域を占領する

5. ドイツとその衛星国、すなわちポーランド、バルト諸国、チェコ、スロバキア、キエフ共和国、およびその他の追放者の領土を含む「第 4 帝国」が創設される

6. フランスと第4帝国の間で戦争が勃発する。ヨーロッパは分割され、ポーランドはその過程で再分割される

・・だろう。

イギリスのEU復帰は微妙なところだが、NATO vs ロシアとなっても、ドイツ以外に参戦しないという機能不全が明らかになって崩壊することが伺える。

その後は・・

  • ポーランドやハンガリーは、元から自国領を主張するウクライナ西部を獲得(アメリカ承認済み)
  • フランスも事実上のドイツ第四帝国と化したEUに見切って、ロシア・中国陣営入り
  • 反ロシアで団結したドイツやポーランド、バルト三国等が「ドイツ第四帝国」となる感じだろうか。

・・と言った展開が予想される。

バイデン大統領とストルテンベルグNATO事務総長が会談してウクライナ支援で一致したとのことだが・・

・・実際には、戦争をドイツに押し付けることの確認だったのかも。

このほかにも、中東や台湾情勢も気になるところだが、アメリカの世界覇権縮小・撤退の流れの中で、これまでの世界秩序が大きく転換するための戦争となりそうだ。


最後まで読んでくれてありがとう!