欧州内戦

ドイツ対ロシアの戦争が迫っている兆候

欧州内戦

先日の「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」では、メドベージェフ元ロシア大統領が予測する2023年の出来事として、EU崩壊・ドイツ vs フランスの欧州内戦を挙げていることを紹介したが、それが本当に現実化しそうな雰囲気が次第に強まっている。(ウクライナへの戦車供与によりドイツvsロシアの直接戦争へ

まずは、ここ最近のウクライナ情勢について、ロシアが大規模攻勢に出るとの話が報じられているが、これこそが、欧米・ロシア協調によるドイツを戦場に引っ張り出す動きである可能性がある。

そもそも、これまでのロシア軍は、三歩進んで二歩下がる牛歩戦術のような展開だった。

また、傭兵会社ワグネルグループのプリゴジン氏も「ドネツク・ルガンスク2州の完全制圧に2年かかるわ」しているように、ロシアは敢えて航空戦力を使わず地上軍オンリーのグダグタ進軍により、戦争を長期化させていると思われる。

これまでにも紹介してきたように、安価なロシア資源が入らなくなった欧州での電気・ガス料金はハンパなく値上がりしており、ドイツではエネルギー集約型の鉱工業等が停止するなど、経済面で大ダメージとなっている。

また、制空権を握るロシアが本気で航空部隊を投入すれば短期間で勝利できるだろうが、それをしない点からは、ロシアの戦略目標として、セルフ制裁による欧州勢(主にドイツ)の自滅・内部分裂の誘発に加えて、NATOの東方拡大の抑制があることが伺える。(リベラル色無き専門家が分析する真の戦況と第三次世界大戦)(ウクライナ軍のハルキウ奪還で確実になるEUの崩壊

こう考えると、既にウクライナ戦争における勝敗の重要性は低く、巷で言われるように、開戦1周年で功を焦ったプーチンが大攻勢に出る・・というのは、ロシアにとって戦略的な意義が薄いことが分かる。

なので、現在ロシアが準備中とされる大攻勢は、

  1. そんな準備していない
  2. そろそろウクライナ戦争終わらせたい
  3. ウクライナ以外の国を念頭に置いたもの

のどれかとなる。

ロシアに何かしらの動きがあるのは事実っぽいので、①ではなさそうだ。除外しよう。

②の可能性はあるが、ロシアがEU(ドイツ第四帝国)やNATOの崩壊のみならず、基軸通貨ドルの崩壊をも視野にいれていることを踏まえると、今の段階で戦争終わらせるとは思えない。

②が実現するには、ロシア側に余程有利な条件が提示される必要があるが、「台湾有事を理由にアメリカは日本の防衛から手を引くかもしれない」で紹介したように、ロシアは好条件の和平交渉オファーを断っており、戦争終わらせるつもりは無さそう。

となると、やはり③のウクライナ以外を想定した動員・・となると対NATO戦(対ドイツ戦)が第一候補と考えられる。

こうした中で、2月21日にロシア連邦議会でプーチン演説があるそうなので、何を言い出すのか注目したいところ。

また、アメリカはロシア国内に滞在するアメリカ人に「急いで出国しろ」との退去勧告を発したとか。

アメリカは、これまでにもロシア滞在中の自国民に注意喚起をしてきたが、このタイミングで改めて出国要請したのは、ロシアが治安維持・国家総動員体制を導入することを懸念しているのかもしれない。

となると、「反ロシア分子」とか「敵国のスパイ」の理由で、手当たり次第に逮捕・拘禁される可能性を念頭においていることになる。

そう考えると、「なるはやの出国要請」の目的は、自国民の保護というよりは、ロシア国内にいるインテリジェンス人員の撤収であり、「ウクライナ戦争から手を引きます」宣言とも取れる。

さらに、冒頭のニューズウィークの記事では、ロシア軍の大攻勢を煽りつつも・・

ただしアメリカは、もはやロシアを脅威と見なしていないようだ。バイデン米大統領は「プーチンには(攻撃を)実行する力はない。もうウクライナを失っているのだから」とテレビ番組で語っている。

・・とあり、ゼレンスキー大統領の「助けて」をガン無視する様子からは、アメリカはロシアと戦争する気が無いどころか、ウクライナ支援も不要と言わんばかりだ、

この発言は「ウクライナへの戦車供与によりドイツvsロシアの直接戦争へ」等で紹介してきたように、アメリカはウクライナ戦争からの撤収と、代わりにドイツを矢面に立たせて戦争させることを企図する流れとも合致する。

こうした中で、ロシア制裁(セルフ制裁)によって1年足らずで音を上げる欧州勢は、内部で不協和音が高まっている。

イタリアのベルルスコーニ元首相は、今回の戦争の原因はウクライナがドンバスを攻撃したことであり、ウクライナの国民や兵士の犠牲はゼレンスキー大統領の責任であると痛烈批判する。

フランスでもロシア敵視・ウクライナ支援への反対が高じてNATO脱退を求める大規模デモが起こっている。

昨年の大統領選で右派のマリーヌ・ルペンと接戦だったことを踏まえると、フランスはコトが起こっても対ロシア戦争に参戦出来るような状況ではなさそう。

また、先日も紹介したように、ウクライナ国内のハンガリー人が強制徴兵されて多数が戦死しているとして、ハンガリー外相が激怒しているほか、ドイツ外相の「ロシアと戦争状態だよ」発言に対して、クロアチア大統領は「ワシらは戦争しとらんから知らんけど、ドイツは70年前より良い結果になるといーな(他人事)」とする。

元から親ロシア傾向の強いハンガリーやクロアチアは、早く足抜けしたくてたまらない感じだ。

さらには、オランダとデンマークは、ウクライナへの戦車(レオパルト2)提供を取り止めたとか。

・・・両王国には、何らかの情報(戦車ヤバい&ロシアヤバい?)が入ってきているのだろうか。

と言うことで、EU・・と言うかNATO加盟国の中でシアと戦争したくないオーラを出す国が増えており、ロシアと直接対決になっても「相互防衛義務」を果たさないなど、NATOが空中分解する可能性が見えてきた。

さらに、このような加盟国の後ろ向きな気持ちを汲んだのか、NATOのストルテルベルグ事務局長は「NATOは戦争に関与してない」と明言する。

そもそも、NATO加盟国でもないウクライナに関与する理由など皆無なのだが、わざわざこんな発言したのは、「何かあってもNATOは無関係っす(今までごめんなさい)」宣言と言えよう。

さらに、ストルテルベルグ事務局長は、ウクライナへの武器支援が間に合っておらず、NATO諸国では武器弾薬が急速に枯渇しつつあることを認めている。

これは、ウクライナ支援の止めたいという意思表示であることに加えて、「NATOはとても戦争出来ませんお」というもので、先の無関係発言を補完するものと言える。

このように、NATO諸国が「戦争」したくないオーラ全開となる中で、穏やかではない動きが出てきている。

まずはこれ。

ポーランドのモラヴィエツキ首相が、ウクライナ西部への進駐を提案し始めたとか。

さて、ポーランドとウクライナ西部の関係について、以前のブログ記事では・・

  • ポーランドはウクライナ西部を「自国の領土」と主張
  • ウクライナ政府が治安維持機能を維持できなくなった際に、ポーランド軍がウクライナ西部に進駐して治安維持を担うこと等がアメリカとポーランドの間で検討
  • 2008年には、ロシアもポーランドに対してウクライナ西部の割譲を提案

・・となっていることを紹介したが、これは、アメリカがポーランドに対して、「ウクライナ戦争を煽ってくれたら、ウクライナ西部を割譲していいよ」と約束したものであり、さらにロシアともウクライナ西部割譲で何らかの密約を結んでいる可能性も伺える。

そんなポーランドが、ゼレンスキー大統領に対して、ウクライナ西部を一時的にポーランドの保護下に移行するよう促した・・と言うことは、ポーランド首相は満を持して領土獲得に動き出したと言える。

ウクライナ西部へのポーランド軍進駐となれば、ウクライナ西部はポーランド領(仮)と見なされてNATOの相互防衛義務の対象となってしまう可能性はあるが、現状のNATOの状況からは「相互防衛義務の対象外だよな(ロシアに手出したらアカン)」で一致する可能性が高く、ポーランドは安心してウクライナ西部を獲得出来る。

ポーランドの動きからは、コトが起こってもNATOは動かない可能性が高いことが伺える。

次の動きとしては、昨年9月のノルドストリーム・パイプラインの爆破事故の犯人が、NATO・アメリカだったことを、ドイツのニュース誌Spiegelの著名ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏がすっぱ抜いたことだ。

シーモア・ハーシュ氏によると、2022年6月に実施されたNATO演習の際に、アメリカ海軍のダイバーが爆薬を仕掛け、 バイデン政権が爆破を決めた9月に、ノルウェー海軍の軍用機から投下されたソナーブイの遠隔信号で爆発させたとのこと。

アメリカは全力で否定し、メジャーメディアはシーモア・ハーシュ氏を攻撃しているが、「ノルドストリームの破壊とグレートリセットを推進するアメリカ」のとおりだったと言うことになる。

この爆破の意義については、ラブロフ外相が指摘するとおり、EU(ドイツ)とロシアを繋ぐ「天然ガス」を断ち、未練がましいドイツに対ロシア戦争の覚悟を決めさせる点にあるのは間違いなさそう。

普通に考えれば、この展開は米露戦争に繋がりそうなものだが、両国とも核兵器保有国なのでの互いに戦争はしたくない。

さらに、アメリカのCSIS(戦略国際問題研究所)からは、先日のトルコ地震を米露和解のきっかけとすることを示唆する論文が出てきた。

CSISさんは、「オレらケンカしてっかと、トルコへの協調支援(震災外交)を機会に和解しよーや」とロシアにラブコールを出し始めた。

なお、NATO加盟国でもあるトルコは・・

  • ロシアとの関係を深め、ロシア製の地対空ミサイルS400を配備
  • スウェーデン等のNATO加盟を承認せず
  • ウクライナ戦争で戦略的に重要なボスポラス海峡を封鎖
  • シリアと和解

・・等々の反米行為の常習犯で、国内にカラー革命を仕掛けられそうになり「アメリカ出てけや」と気勢をはったところでの大地震ということで、人工地震説が囁かれていたところだった。

なお、人工地震については「地震の原因は太陽からの電磁波 地震兵器の理論は本当だった」でも紹介したHAARP(高周波活性オーロラ調査プログラム)を使って、地震を誘発出来る可能性はある。

ちなみに、G7(除く日本)はアメリカからのテロ警告を受けて、1月下旬に大使館閉鎖して人員を引き上げていたとか。

テロ警告とは(人工)地震警告だった!?

となると、CSISレポートの真意は、トルコ懲罰も兼ねてロシアに「震災外交や、テロ攻撃(地震)も困るやろ」というラブコールだった・・のか。

アメリカがロシア国内に滞在するアメリカ人に退去要請したのは、ロシア国内でのテロ攻撃(地震)の脅しという線も考えられるかもだ。

さらに、イギリスからドイツに対する「お願い(命令)」を、イギリス各紙が報じている。

NATO加盟国は、対ロシアを想定した高高度即応統合任務部隊(VJTF)を持ち回りで編成しており、年末に担当がドイツ→イギリスに変わる予定だったが、ウクライナ支援による弾薬不足を理由に、イギリスは「ドイツさん引き続き責任持ってヨロ」と言っているとか。

世界史の黒幕とも称されるイギリスの動きは、対ロシア戦争が近づいていることを示唆すると共に、ドイツを最前線に送り込もうとする強い意志の現れだろう。

これらの状況を総合すると・・

  • NATO諸国は戦争のエスカレート(対ロシア直接戦争)に後ろ向き
  • ノルドストリーム爆破犯がアメリカ(NATO)とバレた
  • でも、ロシアはアメリカ(=NATO)と戦争したくない
  • さらに、アメリカからはロシアに和解のラブ?コール
  • 現場(NATO即応部隊)の主担当はドイツ

・・となり、ロシアが振り上げた怒りの拳の矛先はドイツに向かう以外はなく、ドイツはNATO諸国から「売られた」感じになっている。

また、「台湾有事を理由にアメリカは日本の防衛から手を引くかもしれない」で紹介したように、アメリカの著名な予言者のジョセフ・ティテル氏は、ドイツがロシアに攻撃されることを予言している。

以下は、はろーふろーむロングビーチさんがジョセフ・ティテル氏のクソ長いライブを要約&和訳してくれている動画だが、8分16秒辺りからドイツの話が出てくる(短いけど)。

ジョセフ・ティテル氏によると・・・

  • ドイツがウクライナに供給する戦車(レオパルト2)が原因となり、ロシアがドイツを攻撃する。
  • ロシアは、欧米戦車について「届けられ次第破壊する」との言葉を実行する。
  • ドイツはウクライナへの戦車供与を激しく後悔することになる。

・・とのことだ。

また、セルビアのヴチッチ大統領は、ドイツ製戦車(レオパルト2)の供給決定がロシア国民を刺激したとする。

ロシア人はナチス・ドイツに酷い目に合わされたことや、それに勝利したことの名誉を海よりも深く教育されており、ドイツ戦となれば「やったるで」と燃える性質がある。

さらに、かつてロシア外交で活躍した元外交官の佐藤優氏は、ロシア人の気質について・・

ロシア人にとって、対外的にはロシア国家は大統領に文字通り体現されているのである。領土問題のようなロシアの国民感情と密接に絡む外交案件も大統領が決断すれば、最終的に国民はそれについてくる。

・・と分析している。

獄中記(佐藤 優 著)

つまり、欧米勢の介入によってドンバスの同胞住民が攻撃されたためにウクライナに進行し、紆余曲折を経て「敵はドイツ」となれば、ロシア人が一枚岩になる展開だろう。

この段階に至ってドイツがやれる最善策は、対米離脱(=EU盟主を返上)してロシアと和解するしかないが、それは許されないのだろうな・・。

なお、ドイツ国内では右派で第一野党のAfD(ドイツのための選択肢)や軍関係者から、2011年に廃止された兵役義務の復活を求める声が出ているとか。

まあ、兵役義務が復活することはないと思うが、ドイツ国内において「有事」の雰囲気が醸成されつつある感じだろうか。

ウクライナでネオナチ勢力が台頭していることは周知の事実だが、そのルーツとなるナチス党を1919年に立ち上げたアントン・ドレクスラーは、かのモルガン商会創業時の共同経営者の系譜の人物である可能性が高く、ナチス党とは共産主義(=ソ連)打倒のために国際金融資本マネーが作ったものだった。

億万長者はハリウッドを殺す(広瀬隆 著)

あれから100年。

場所をウクライナに変えた国際金融資本マネーがネオナチを使って、ドイツ・ロシアを戦争に引きずり込もうとするのは何かの因縁だろうか。


最後まで読んでくれてありがとう!