ドルの崩壊

制裁強化で現実になる米ドル崩壊と食糧危機

ドルの崩壊

さて、「ロシア軍の市民虐殺」報道を受けて、アメリカはロシアへの金融制裁のレベルを引き上げ、ロシアがアメリカの金融機関を介してドル建て国債の利払い・償還することを禁止した。

平たく言うと、ロシアは「ドルで払うよ、カネあるよ」と言ってるが、アメリカが支払うことを認めない・・と言うものだ。

アメリカは、ロシアのウクライナ侵攻直後に、国内外の金融機関に対してロシアとの金融取引を禁じたものの、国債の利払い・償還は5月25日までオッケーしていた(その後も延長されそうだった)。

なお、ロシアのドル建て国債は、4月4日期限で利払い・償還合わせて21億ドルのうち、投資家が「ルーブル払いでええで」と言った分を除く6億ドル程度をドル払いする必要があった。

カネも支払う意思もあったロシアだが、アメリカが「ダメです」と言ったため、ロシアはルーブル払いした。

ただ、ドル払いする債券をルーブル払いしたのは契約違反なのでデフォルト認定される可能性が高く、ロシアさんも否定しない。

ただ、ロシアさんは「デフォルトはアメリカのせい」と言っているように、アメリカが「払わせねえ」と無理筋言ってる話でもある。

アメリカは、ロシア国債をデフォルトに追い込むことで、ロシアの信用を叩き落とす意図があったのだろうが、実際にはアメリカにとって悪手だった。

これまでのロシアへの金融制裁で、ロシアが欧米諸国に貯め込んだ外貨(主にドル)資産を凍結したが、これによりドルを準備通貨として積み上げても、アメリカの腹一つで消し飛ぶことが明らかとなってしまった。

それに加えて、今回は国内に貯めていたドルすらも決済で使えなくなってしまうことが明らかとなってしまった。

アメリカによるドルの金融兵器化は、反米諸国だけでなく非米諸国に対しても「ドル保有こそがリスク」と認識させることになり、その信用は大きく毀損されたと言える。

一方で、国債のデフォルト懸念が高まるルーブルは無風だ。以下はルーブルドルの日足チャートだ。

20220411ルーブルドル日足チャート

その水準は侵攻前に戻っているほか、ローソクの実体が超長期線を上回っており、今後のブルトレンドの到来を予感させる。つまり、市場はロシアをデフォルトと見なしていない。

この理由として、ロシア制裁に参加している国が少数派な上にサウジなどの資源国がロシア側についていることや、ロシアがルーブルと金のレートを固定するなど、将来的な金本位制を見越していることが考えられる。(ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル)(ウクライナ危機でロシアが仕掛ける金・資源本位通貨

さらに、資源価格高騰を受けてインドなど大口需要との貿易収支が順調なことがある。

欧米勢の制裁によりロシアの石油や天然ガスの生産量は20%程度低下したと言われているが、価格高騰によりロシアの貿易収支は3割増となっているとか。

特にインドさんは、ロシア産の原油をディスカウント価格で購入しまくっている模様。

2021年にインドはロシアから1600万バレルの石油を購入しているが、2022年の購入量は3月時点で1300万バレルとなっており、かなりのハイペースだ。

なお、インドは日本・アメリカ・オーストラリア・インドによる対中包囲網「クアッド」の一角を占め、さらにイギリス連邦加盟国という西側寄りの国だ。

スプートニクの記事において

ロイター通信の消息筋情報では、「米国は、インドが値引きで以前と比較して大幅な増量を行わずにロシア産石油を購入することには異存はない」ものの、ルーブル決済には異議を申し立て、ルピーとドル間の決済を主張している。

とあり、アメリカさんも戦略的に重要なインドを前に「たくさんじゃなければ許す・・」と及び腰だが、インドは明らかにたくさん買ってるし、さらに「ルーブル決済」までしているようだ。

アメリカはインドを放置している。

石油輸入・消費量は世界第3位と大口なインドさんの自由行動により資源大国ロシアの貿易収支は順調そのもので「デフォルト」認定もされていない。

さらに、格付け会社さんもロシア国債の格付けをやめており、ドル建て国債の「ルーブル払い」がデフォルトに該当するか否かの判断から逃げている模様だ。

こうした中で、ロシアはデフォルトしたら法的措置やぞと言っているとか。

ロシアはドル払い出来たのに、アメリカがロシアをデフォルトさせたいがためにモルガンなどの金融機関に送金を止めさせたことの是非について、法的判断を求めるものだ。

しかし、司法がアメリカの「払わせねえ」を是とすれば、多くの国々はドル保有そのものをリスクと捉えるだろうし、非としてもアメリカは覇権国としての信用を失うという・・。

結局のところ「ロシアデフォルトざまぁ」な話ではなく、アメリカが「禁じ手」で自分の首を締めただけであり、ドルの寿命を縮めたものと言える。

ただ「ロシア制裁はルーブルの金本位性とドル離れに繋がる」で紹介したように、今日の事態はアメリカとロシアの間で事前に合意されていた可能性は念頭に置いておきたい。

ウクライナ危機でロシアが仕掛ける金・資源本位通貨」で紹介した、ロシアルーブルや中国人民元による現物に基づいた通貨システムの構築と合わせ、ドルを中心とした経済・金融システム崩壊に向けた米ロ協調の一環なのかもしれない。

そもそも、ウクライナこそがドイツやフランス以上にロシア産の石油・天然ガスに依存している国だ。

ロシアから天然ガスパイプラインの自国通過料を徴収し、ロシアから格安で石油・ガスを仕入れ、また(パイプラインから抜き取った)ガスをEUに転売するなど、その経済はロシア抜きでは成り立たない。

また、戦争遂行には多くの石油が必要となるが、それはどこから調達しているのか・・。

このように、ドル崩壊による金融システムの転換が見えて来るなかで、同時に食糧危機も現実化し始めた。

ロシアは逆制裁のレベルを引き上げたようで、日米欧などの「非友好国」に対する食料輸出を監視するとか。

ロシアは石油や天然ガス、レアメタルなどの天然資源だけでなく、小麦などの生産大国でもあり、ロシア・ウクライナ合わせた世界の輸出小麦シェアは約3割を占めている。

ロシア小麦は主にアフリカ・中東方面への輸出がメインとなっているため、日本などの非友好国はそもそもロシア産に依存していないので問題ナシ・・との声も聞こえるが世界は繋がっており、小麦価格は暴騰中だ。

20220411小麦先物日足チャート

3月8日に1347ドルを付けてから975ドルくらいまで下落したものの、既に1000ドル台を回復しているほか、いつでもロケットスタートできそうな位置にいるのが不気味ではある。

なお、ウクライナ侵攻前から小麦価格は高値推移していたが、その理由は「コロナとウクライナ危機による物価上昇、そして食糧危機」で紹介したように、アメリカ北部やカナダ南部の穀倉地帯における干ばつで生産量が減少していることがある。

今年の作付けも気になるところであり、状況によってはアメリカやカナダの日本向け小麦輸出に影響がでる懸念もある。

さらに、「ジョセフ・ティテルの予言 北朝鮮の白頭山の噴火が近い!?」で紹介したように、日本の農業界では肥料不足・値上がりが深刻になっている。

日本は、肥料のほぼ全量を輸入に頼っていることや、コロナの影響で輸入が止まっており国内の在庫が尽き始めていること、特に窒素肥料不足により米も麦も野菜も何も作れなくなる可能性が指摘されている。

自給率が低いだけでなく化学肥料や農薬に頼る割合の多い日本が、肥料輸出大国でもあるロシアやその子分のベラルーシとコトを構えるのは自殺行為と言える。

さらに、日本ではコロナ自粛の影響で米価が下がっており、農家さんは減反を進めている。小麦がなければ米粉を使えばいいと言うものではない。

また、先に紹介したAFPの記事の中に

プーチン氏は農業関連の会合で「世界的な食料不足を背景に、今年は国外への供給を慎重に行わなければならない。わが国にとって明らかに友好的でない国への輸出は注意深く監視する必要がある」と述べた。

とあり、世界的な食糧不足が既定路線で、特に日米欧(特に日本)など「非友好国」の食糧事情悪化懸念がある中で、ロシアは「非友好国」に対して食糧輸出制限をチラつかせている。

以前にも紹介したが、ロシアの同じ穀倉地帯のウクライナ産小麦・トウモロコシの輸出量3月分は、2月の4分の1にまで落ち込んでいる。

ロシアが黒海の港湾を閉鎖しているためだが、もしもロシア軍がオデッサを手中に収めれば、黒海貿易は完全にロシアが掌握する。

アメリカ産の小麦が不足しても、日本がウクライナ産小麦を手に入れるのは難しくなる。

さらに、アメリカの著名な予言者のジョセフ・ティテル氏が、直近の予言で食糧危機に警鐘を鳴らしている。以下は、ジョセフ・ティテル氏の予言を和訳・要約してくれている、はろーふろーむロングビーチさんの動画。

ジョセフ・ティテル氏は、2022年の年頭予言において食糧危機を指摘していたことを紹介したが、改めて食糧危機を警告している。

今回の予言の食糧危機に関する部分の概要はこんな感じ。5:15辺りから。

  • 中国ではロックダウンを受けて食糧備蓄を急いでいるが、何年も前から警告してきたように皆さんも備える必要がある。
  • これまで「ドイツから始まる」と話してきたが、そのドイツでは食糧価格が20~50%高騰している。
  • 皆さんの食糧事情も深刻なものとなるため、自分で色々な作物を育てる必要がある。
  • 肥料工場の爆発などにより肥料価格が高騰して、小麦の生産コストが低くなる。
  • このため、トマトから小麦への転換が進んでいるおり、トマトやその加工品が不足するため、バケツや袋でトマト栽培するとよい。
  • 人々は自給を強いられることになるため、今から庭で野菜を作り始めておくとよい。サツマイモも良い。
  • バイデン政権が突然、400万人エーカーもの土地で野菜を育てることを禁止したが、これは警告である。
  • また、国によっては、今後数年で育ててよいもの・ダメなものが法律で規制されるようになる。
  • 東海岸での鳥インフルは本当は発生していないようで、(ティテル氏の)スピリットによると、鳥インフルのためにニワトリが大量に殺処分されたのは彼らのアジェンダとしている。
  • サルモネラ菌に汚染されたとして多くの野菜がリコールされるが、その結果として缶詰が品薄となり備蓄を妨げる。
  • 食糧不足をめぐって人々が大騒ぎしているのが見え、さらにドイツや中国が食糧の配給制を開始する。

ジョセフ・ティテル氏が言っているドイツの食糧価格の話はこれ。

ゼロヘッジさんによると、ドイツの小売りチェーンの値上げが止まらず、食糧供給が保証されているのは1年程度だけとか。

また、ドイツのスーパーでは、買いだめ防止のため食用油と小麦粉の購入制限が始まっているとか。

配給制の予行演習かえ??

なお、世界の食糧不足はプーチン大統領だけでなく、バイデン大統領にとっても既定路線のようだ。

ゼロヘッジさんによると、バイデン大統領はロシア制裁する代償として「食糧不足になるよー」と述べており、カナダや欧州諸国などに輸出規制の撤廃を求めているが、実際に食糧不足となればみんな国内を優先するのは言うまでもない。

そうなると、ジョセフ・ティテル氏の予言にある「配給制」が気になってくる。

前々から紹介している支配者層による新世界秩序の実現プラン「ロックステップ計画」では、

  • 食料・ガスなどは不足するため、許可制で最低限の買い物しか出来ないようにする。
  • そして、更にロックダウンを強化・長期化(6ヶ月以上)して、世界的に経済を崩壊させて食糧危機を発生させる

とのくだりがある。

実際には新型コロナだけで計画にあるような状況とはならなかったものの、新型コロナに続くウクライナ危機を経て現実化しつつある感じだ。

新世界秩序に従順な人々にのみ配給・・と言った話も出てくるかも。

実のところ、食糧危機に最も脆弱なのが日本だ。さらに、日本はエネルギー弱者でもある。

そんな日本は、先日も紹介したようにG7各国が国内のロシア資産を差し押さえたことに対して、日本は「法律でムリっす」とロシアにすり寄る姿勢を見せ始めている。

さらに、日本はロシアからのカニ輸入を止めないとしているほか、ロシアにおける天然ガス開発から「撤退しない」ことを表明している。

萩生田経産相によると、日本企業はロシアの天然ガス開発事業「アークティックLNG2」「サハリン1」「サハリン2」から撤退しないとか。

なお、「サハリン1」に参加していた米エクソンモービルや「サハリン2」に参加していた英シェルは、早々に事業撤退を表明しており、日本国内からもロシアの天然ガス権益の放棄を求める声は多い。

ただ、以前にも紹介したように日本が輸入する天然ガスの1割はロシア産だ。

中国が天然ガスの輸入量を飛躍的に増加させる中にあって代替輸入先などあるワケが無く、うっかりロシア権益を放棄すればドイツのようにガス不足となるのは確実だ。

日本政府の対応は、世間の声に迎合するものではなく好感が持てるものの、広島ガス(岸田総理の地元)はLNGの5割をサハリン2から調達しており、長州閥(安部元総理とか)と関係の深い三菱や三井がアークティックLNG2やサハリン2に多額の投資を行っていることとの関係は気になるところ。

近未来の食糧・エネルギー危機を見越したものではなく、単なるお友達利権なのかもしれん。

また、ロシアは課している「天然ガスのルーブル払い」の対象はEU向けのパイプライン経由のみであり、日本などが輸入するLNG(液化天然ガス)は対象外だ(今のところ)。

実のところ、プーチンの日本に対する感情は悪いものでは無さそうだが、それはプーチンの背後にいるユダヤ勢が関係しているのかもしれない。

トンデモ扱いされる日ユ同祖論だが、ユダヤ教のラビが日本に調査に来ているのも事実であり、もしかしたらもしかするかもしれない。(Amazon Kindleのオススメ書籍紹介!「アマテラスの暗号」

いずれにせよ、ウクライナ危機では中立的な姿勢を保てば、ロシア・ウクライナの仲介役を果たして国際的なプレゼンスも示せただろうし、原油も穀物もロシアやウクライナからディスカウント価格で買えただろう。

なお、ロシアやウクライナ産の小麦は、アメリカ・カナダ産と異なりグリホサートなどの発ガン性が指摘される農薬は使われていない。(パンケーキも危険!グリホサート入り食品が大量に日本で流通!?

食糧やエネルギーを高いレベルで自給可能なアメリカに追随して安易にロシア制裁すると、カネがあってもモノがない・・なんてことになるかもしれない。

ちなみに、ウォール・ストリート・ジャーナルの3月の記事では、フランス企業の多くはロシアから撤退していないことが報じられている。

ウォール・ストリート・ジャーナルさんによると、フランスの自動車大手のルノーや金融大手のソシエテジェネラルなどは、引き続きロシアで企業活動を続けているとか。

また、ドイツはウクライナに送る武器がもう無いっすと漏らす。

ドイツ国防相さんは「ウチの防衛もあるし、そんなにあげられないっす」としている。

さらにゼロヘッジさんによると、ウクライナがドイツの兵器メーカーから直接購入することについても調整しているとか。

ただ、兵器の発注から納品までの時間を考えると今回の戦争には間に合わないだろうし、そもそもロシアが制空権を握るウクライナにどうやって搬入するのかという大問題もある。

ドイツの姿勢は、事実上の武器供給拒否と言えよう。

既に欧州勢はアメリカについて行っておらず、対米離脱の可能性も視野に入れているとみるべきかも。

そもそもウクライナは、汚職・腐敗の常連国で経済も脆弱なためにEU(経済協力)に入れず、ロシアとの関係性の深さからNATO(対ロシア軍事同盟)にも入れてもらえなかった国だ。

ドイツやフランスから見れば、そんな国が「絶対正義」と言われても何だかなぁ感は凄いだろう。

さらに、アメリカのCNBCは、ロシア軍とウクライナ軍の損傷率データを報じている。

既に、ウクライナ軍の航空戦力や防空システム、戦車の類いはほぼ壊滅状態とか。

さて、アメリカはアメリカはロシアからの輸入品に高額関税をかけるなど、完全にロシア陣営との関係性を断とうとしている。

元々ロシア依存の低いアメリカは、ロシア経済と完全なるデカップリングを進めている。

ロシア制裁にイマイチ乗り気では無さそうな日本やEUは何処を目指すのか・・。


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