ここ最近は新型コロナウィルスの話ばかりだったので、今回は違う話題を。
F1品種をご存知だろうか。
様々な品種を掛け合わせた「第一世代」はメンデルの遺伝法則により優性遺伝が現れる。
これを野菜作りに応用すれば、色んな品種の掛け合わせで形が良くて甘くてオイシイ「いいとこどり野菜」を作り出すことが可能となる。これがF1品種。
ちなみに、このF1品種のタネから栽培する第二世代(F2)では、劣性遺伝が出てくるので、形が悪く甘くないものが出てくるため、歩留まりが悪くなる。
つまりF1品種とは、狙った優性遺伝のみが発現する交雑品種第一世代のことだ。
だが、今では「いいとこどり」に加え子孫を残す能力のない「雄性不稔」を持った品種を指す。
自然界の中でたまたま出てきた雄性不稔種を掛け合わせて、次の世代を作れない一代限りの品種を作ってるのだ。
こうすることで、F2が無くなるため作物の品質が保たれる。
だが、今後は「いいとこどり」「雄性不稔」に加え「遺伝子組み換え」の要素を持ったF1品種が国内に氾濫する可能性が高い。それもコメでだ。
種子法が2018年4月に廃止されたことを知らない人は多いと思う。
種子法とは、もとは戦後の食糧難の時代に、コメ・大豆・麦といった主食級の農産物(主要農作物)の安定生産を目的とした法律で正式には「主要農作物種子法」という。
農産物の安定的な生産には「優良な種子」が必要というコンセプトのもと、その優良な種子の安定的・継続的な生産・普及は国の責任でやるんだよ、と定めた法律だ。
実務的には、各都道府県にある農業試験場において優良品種を作るべく研究を重ねたり、実際の作付けで使用される種子の生産や供給を果たしてきた。
日本一有名なコシヒカリなどもこうして生まれてきたし、農業試験場では300種ほどのコメが保管されている。
また、有名品種の元になった「原種・原原種のタネ」は定期的な発芽・収穫をしないとダメになってしまうし、コシヒカリだって品質を保つために遺伝法則に基づいた管理が必要など、タネのメンテナンスには相当な手間ヒマとおカネがかかる。
なので、公的機関がやってきたのだ。
国の論理は「既に役割を終えた法律で、日本の農業が国際競争力を持つために民間と連携が必要なので、種子生産に民間企業を参入させるために廃止」ということだ。
公的機関(各地の農業試験場)が優良品種の研究・開発をして、なおかつ優良品種のタネを作って農家に売っていたのでは民間企業が付け入るスキが無いってことだな。
なお、種子法廃止を主導したのは小泉進次郎だ。彼の父親がやった郵政改革は、郵貯・簡保の莫大な資産(国民のカネ)を外資系多国籍企業に差し出した”だけ”のものだったが、種子法廃止も同じニオイがする。
ということで、この法律の廃止によってどんな影響があるのだろうか。
まず、国が想定している「民間企業」とは、モンサントなどの外資系多国籍企業だ。特定の外資系大企業が種子を独占・私物化し、種子価格が大幅に上昇することが考えられる。
国は、これまで各地の農業試験場が蓄えてきた知見全てを外資系企業にタダで譲り渡すようだ。
ちなみに、ここでいう「種子」というにはコメのことだ。つまり、日本人がこれまで蓄積してきた主食コメに関する知見全て、外資系企業が独占するということになる。
つまり、近い将来、コメは外資多国籍企業に支配され「遺伝子組み換えライス」しか食べられなくなる状況が目の前まで来たということだ。
さて、今でも十分に美味しいし冷害などにも強い品種があるのに、何故「遺伝子組み換え」か。
以前にも書いたが、モンサントなどは遺伝子組み換えにより特定の農薬に耐性をつけた農作物を作っており、農家に対しては農薬と種子をセットで販売する手法を取っている。
肌のトラブルだけでなく、片頭痛や便秘といった「不調」について、毎日の食べ物を変えることで解消することがある。有名なところでは、男子プロテニスのジョコビッチ選手が小麦を摂取すると調子が落ちるため、グルテンフリーの食習慣を実践しているこ[…]
例えば、ラウンドアップ除草剤に耐性を持つように遺伝子を組み換えた「ラウンドアップ・レディ」という品種を作付けすれば、適当にラウンドアップを巻くだけで草刈りなどの手間がかからない。
モンサントでは、農家に対して最初は種子をタダで提供するが、きっちりラウンドアップ使えよと迫る。
こうして農家はモンサントの契約にガッチリ絡めとられていく。なお、その契約の中で農家は栽培した作物から種子を取ることを禁じられるなど、農家はモンサントに搾取される構造となっている。
そういえば20年くらい前はケータイをタダで配布していたな…。
このためだろうか。種苗法改正により、日本の農家は自家採種が禁止されることとなった。種苗法改正の名目は「育成権の保護」で、いちごの「とちおとめ」など保護権のある品種が海外で栽培される海賊版問題への対応だ。
もちろん、誰にも権利のない品種(固有種)なら自家採種することが出来るのだが、大量に作れないし見た目や味にもバラツキがあるので、贅沢な人が多い日本では売れんだろう。
いずれにせよ、種子法廃止で優良種子(=コメ)を外資系多国籍企業が提供することとなり、種苗法改正で農家の自家採種が禁じられることで、遺伝子組み換えF1品種しか栽培できなくなる可能性が出てきた。それもコメで。
こうした一連の法案に反対の声を上げ続けている山田正彦元農水大臣に対して、巧妙に作成された多数のウェブサイトが立ち上がり非難攻撃されるなど、国を挙げて一連の改正を進めているような状況が垣間見える。
アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!(山田正彦 著)
タネはどうなる?!~種子法廃止と種苗法運用で(山田正彦 著)
元キャリア外交官の原田武夫氏は、アメリカにとってそろそろ日本は刈り取り時なのではないか、と懸念していた。
アメリカは、日米FTAで日本に遺伝子組み換え小麦やコメの導入を求めてくるだろう。
ちなみに、穀物の遺伝子組み換えは世界の何処でも導入されていない。もちろんアメリカでも。
それを、アメリカ国内では反対が強いから日本での導入を求めてくるのだ。TPPでそうだったのでFTAでも当然そうなる。
こういったことを見越したのだろうか。今後、日本では遺伝子組み換え表示が厳しくなる。今は遺伝子組み換え5%以下なら「遺伝子組み換えでない」と表示できるが、今後は0%じゃないといけなくなる。
どこから花粉が飛んできて混入するか分からないので、絶対に0%は出来ない。なので、実際には遺伝子組み換え表示が禁止されたということになる。
外資系多国籍企業が日本に遺伝子組み換え作物を導入するハードルが下がっただけだ。
そして、このF1品種にはもうひと一つ懸念されていることがある。
F1の特徴の一つでもあった「雄性不稔」だが、これは動物で言うとことの男性不妊であったり無精子症なのだ。F1品種は、その昔、たまたま見つけた雄性不稔株の子孫を使い続けているのだ。
ミトコンドリアは我々の細胞一つに数千個存在し、独自の遺伝子(ミトコンドリア遺伝子)を持っており母系遺伝する。
余談だが、ミトコンドリア遺伝子を辿ることで、原始時代まで遡って世界人類の母(ミトコンドリア・イブ)を見つけることが出来る。
なお「雄性不稔」とはミトコンドリア遺伝子の「異常」であり、ミトコンドリアは動植物共通で持っている。
男性不妊症の異常なミトコンドリアDNAを持つ植物を毎日食べることが、動物の不妊につながっている恐れがある。デンマークのスカケベック教授がWHOに「過去50年に渡り男性の精子数が半減」と報告したが、F1品種との関係が気になるところ。
なお、F1品種の雄性不稔問題は国産野菜でも状況は同じだ。
いずれにせよ、政府により外資系多国籍企業に売り渡された「日本人の食」だが、地域ごとに日本の固有種を守り育てていくことが唯一の対抗手段となるのかもしれない。
今回はAmazonのKindle本としても発売されている「奇跡のリンゴ」という本の紹介だ。奇跡のリンゴ(木村秋則 著)本書は著者の木村秋則氏が、家族と窮乏に陥り、死を覚悟するほどにまで追い詰められながら、不可能と言わ[…]
もしかしたら少子化問題も多少は良くなるのかも。
最後まで読んでくれてありがとう!